アル・ズバラ級フリゲート(英語: Al Zubarah-class frigate)は、カタール海軍のフリゲートの艦級。フリゲートとしての艦種記号を付されているが、公式にはドーハ型コルベット(英: Doha-class corvette)と称される。
来歴
カタールは湾岸協力会議(GCC)の原加盟国だが、イランやトルコとの関係強化を図る独自外交を展開した結果、サウジアラビアなどとの軋轢が生じて、2010年代半ばからは他のGCC諸国から制裁を受ける立場となっており、2017年カタール外交危機では一部のイスラム諸国との断交にまで至った。これらの軋轢は武力衝突に発展する状況には至っていないが、これを契機として、従来は小所帯だった海軍力の強化が図られており、2016年にはイタリアとの間で38-40億ユーロの武器輸出パッケージを取り決めた。
この一環として、同国のフィンカンティエリで建造されたのが本級である。
設計
船型は長船首楼型で、イタリア海軍のカルロ・ベルガミーニ級フリゲートの縮小型のような艦容となっている。上部構造物後端部に艦載ヘリコプターの格納庫を有するのも同級と同様だが、船体幅が狭いために1機分に削減されている。艦尾には大型のハッチが設けられており、舟艇の発着用と推測されている。
満載排水量3,250トンと小型の水上戦闘艦ながら、艦隊防空用としてアスター30、近接防空用としてRAMと2種類の艦対空ミサイルを併載するうえに、艦対艦ミサイルとしてエグゾセMM40ブロック3を8発搭載するなど、重武装が目立っている。
前檣頂部にはアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナを採用したKRONOS多機能レーダーを搭載する。ただしソナーとしては、障害物回避・機雷探知用のもののみを搭載している。
同型艦一覧
脚注
出典
参考文献
- 井上孝司「中東諸国 (ネーバル・レビュー2020)」『世界の艦船』第922号、海人社、142-151頁、2020年4月。 NAID 40022187383。
- 井上孝司「世界の大型水上戦闘艦」『世界の艦船』第946号、海人社、2021年4月。 NAID 40022516372。
- 海人社 編「カタール海軍初のコルベット「アル・ズバラ」公試開始!」『世界の艦船』第941号、海人社、118-119頁、2021年2月。
- 海人社(編)「ニュース・フラッシュ カタール海軍のミサイル・コルベット「アル・ホール」Al Khor就役」『世界の艦船』第991号、海人社、2023年4月、127頁。
関連項目