アルファルド [ 2] (Alphard [ 3] [ 4] ) あるいはうみへび座α星 は、うみへび座 で最も明るい恒星 で2等星。
概要
2等星の中では際立って明るいほうではないが、アルファルドの属するうみへび座をはじめ、周囲の星座はろくぶんぎ座 、コップ座 など暗い星ばかりからなる星座ばかりであるため、その中で橙色に光るこの星は、容易に見つけることができる。
詳しい視線速度測定の結果、視線速度 とスペクトル線 形の変化があることが分かった。アルファルドの震動(星震 という)は複数のものが並行していて、かつ周期的である。期間は数時間から数日である。短期的な変化は、太陽 と同様に、星の脈拍の結果であると思われる。また、スペクトル線形と視線速度の非対称である変化の間に、相関関係も見つけられた。アルファルドの震動は、星震学 においては非常に興味深いものである[ 8] 。
巨星化が進んでおり、太陽の位置においた場合、表面は水星 軌道の半分辺りまで達する。巨星 または輝巨星 であるアルファルドは、同じくらい巨星化が進んだ段階にあるアークトゥルス やアルデバラン と比べて、実際の光度 が大きい。また、アルファルドは若干バリウム星 としての性質を持っている。バリウム星の多くが、以前は連星 だったと考えられている。今のアルファルドより大きかった当時の主星が、先に巨星化して死を迎え、そのときの核融合の結果にできた物質がアルファルドに流れ込んだものであると考えられる[ 6] 。
名称
α Hydrae、略称α Hya。固有名のアルファルド (Alphard) は、アラビア語 で「孤独なもの」を意味する فرد|الفرد (al-Fard , Fard) に由来する[ 3] 。周囲に明るい星がないことから名づけられた名前である。2016年7月20日、国際天文学連合 の恒星の固有名に関するワーキンググループは、Alphard を、うみへび座α星の固有名として正式に承認した[ 4] 。
別名のコル・ヒドラエ[ 2] (Cor Hydrae ) は、ラテン語 で「蛇の心臓」という意味で、ちょうどうみへびの心臓に位置することからティコ・ブラーエ によって名付けられた[ 2] 。日本語文献でコル・ヒドレとも書かれたこともあるが、他の恒星と同じく古典式ラテン語の発音に従えば「コル・ヒドラエ」のほうがより近しい発音となる[ 2] 。
脚注
注釈
^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
出典
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s “SIMBAD Astronomical Database ”. Results for NAME ALPHARD . 2016年12月10日 閲覧。
^ a b c d e f 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、98頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 。
^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations . Sky Pub. Corp.. p. 40. ISBN 978-1-931559-44-7
^ a b c “IAU Catalog of Star Names ”. 国際天文学連合 . 2016年12月8日 閲覧。
^ a b “NSV ”. Results for NSV 4496 . 2015年10月20日 閲覧。
^ a b c d Kaler,James B.. “Alphard ”. STARS . 2016年12月10日 閲覧。
^ a b c 輝星星表 第5版
^ Setiawan, J., Roth, M., Weise, P., Dölinger, M. P. (2006) Multi-periodic oscillations of HD 32887 and HD 81797. Memorie della Società Astronomica Italiana , 77 , p.510
関連項目