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アバザ語(アバザ語:Абаза Бызшва)は、カフカース地方のロシア連邦カラチャイ・チェルケス共和国アバジニア地区などに住むアバザ人が使用する言語である。
アバザ語は、他の北西コーカサス語族のように膠着語的な形態法を持つ。子音の数は63になるが、母音は2つしかない。系統的には北西コーカサス語族(アブハズ・アディゲ語族)に属し、アブハズ語と非常に近い関係にあるが、アブハズ語にはない子音もいくつかある。(有声咽頭摩擦音など)
アバザ語の研究を行った学者には、W.S.アレン(英語版)、ブライアン・オヘリン(Brian O'Herin)、ジョン・コラルッソなどがいる。
アバザ人は14世紀から15世紀にかけてアブハズ人から分岐した集団とされ[2]、アバザ語とアブハズ語はもともと一つの同じ言語であったと考えられている。17世紀頃にもアブハズ人から分岐しアバザ人と合流した集団が存在し、こちらは自称がアバザ人ではなくアブハズ人であった[2]が、今日ではこの2つの集団をまとめてアバザ人と呼ぶ。
コーカサス戦争により、一部のアバザ語話者はトルコやシリア[2]へ移住している。
1989年の話者の分布は以下の通り[2]。
14~15世紀にかけてアブハズ人から分岐したアバザ人によるタパンタ方言(アバザ語:ТӀапӀанта)と、17世紀頃にアブハズ人から分岐したアバザ人によるシュカラワ方言(アバザ語:Щхъарауа)がある。
言語学的には、シュカラワ方言はアブハズ語アシュハルワ方言(アブハズ語: Ашьхаруа)に分類される事がある[2][3]。
方言は更に次の方言分類へ細分化される[2][4]。
アバザ語の子音はアブハズ語と概ね似ている。タパンタ方言では固有音素が59個(外来語由来の音素を含めると63~65個)あり、有声、無声、放出と口蓋化、唇音化、平音の区別がある。
一方で、母音音素は広母音/a/と狭母音/ə/の2つしか持たない。
赤色の音素は外来語で現れる非固有音素である[5]。
タパンタ方言では無声咽頭摩擦音に対し有声咽頭摩擦音の対立が存在するため、アブハズ語と異なり長母音/aa/と短母音/a/は区別されない。
シュカラワ方言では、タパンタ方言の有声咽頭摩擦音[ʕ]は話者によって有声声門摩擦音[ɦ][5]か、或いは長母音[aa]になる[2]。
1938年以降、アバザ語は以下の正書法を使用している[6]。