アジアーゴ(イタリア語: Asiago)は、イタリア共和国ヴェネト州ヴィチェンツァ県にある、人口約6,500人の基礎自治体(コムーネ)。
アジアーゴ高原に位置するコムーネで、この地域では最大のコムーネ人口を有する。歴史上は、ドイツ語系の言語と独自の文化を有して自治を保った「セッテ・コムーニ」の中心地であり、第一次世界大戦の激戦地(アジアーゴの戦い)としても知られる。冬はウィンタースポーツ(特にノルディックスキー)、夏はハイキングやサイクリングなどで賑わうリゾート地であり、またアジアーゴ・チーズにその名を冠している。
名称
歴史的にはドイツ語系のチンブロ語が話された地域である。イタリア語以外の言語では以下の名称を持つ。
日本語文献では「アジアーゴ」のほか、「アジアゴ」[4]とも表記される。
地理
位置・広がり
ヴィチェンツァ県北端、アジアーゴ高原(セッテ・コムーニ)に位置するコムーネで、北にトレンティーノ=アルト・アディジェ州に接する。おおむねT字型の市域の面積は162.99km2に及び、これはヴィチェンツァ県は最も広い。市域の北部は山岳・高原地帯が広がっている。
アジアーゴの中心市街は市域南部にあり、県都ヴィチェンツァの北約37km、トレントの南東約37km、州都ヴェネツィアの北西約79kmに位置する[5]。
隣接コムーネ
隣接するコムーネは以下の通り。括弧内のTNはトレント自治県(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)所属を示す。
歴史
古代・中世
この地域に最初に人類が居住するようになったのは、旧石器時代・中石器時代にさかのぼる。ローマ時代以前にはすでに定住が見られた。
アジアーゴ高原の7つの都市(セッテ・コムーニ)は、1310年に同盟を結んだ。アジアーゴは同盟の中心地であった。セッテ・コムーニは5世紀にわたり自治を行った。
ナポレオン戦争によりフランスが北イタリアを占領すると、1807年にセッテ・コムーニの自治も失われた。
近代・現代
第一次世界大戦では、当時オーストリア=ハンガリー帝国領であった南チロル(現在のトレンティーノ=アルト・アディジェ自治州)との国境にあたるアジアーゴ高原はイタリア戦線の戦場となった。当初は国境線に沿った塹壕をめぐり、膠着した戦いが繰り広げられた。
1916年5月、オーストリア軍はアジアーゴ高原の突破を図って攻勢をかけた。激しい砲撃により、アジアーゴの市街地も破壊された。1か月に及ぶこの戦いはオーストリア軍の敗退に終わるが、両軍合わせて2万7000人の戦死者を出した。その後も、国境付近のオルティガーラ山を巡るオルティガーラ山の戦い(1917年6月)などが繰り広げられた。
第一次世界大戦の終結後、市街地の再建が行われるとともに、戦没者の遺骨を収拾して記念碑(納骨堂)が作られた。
社会
言語
アジアーゴでは、19世紀半ばまでドイツ語系の言語であるチンブロ語が話されていた。
特産品
アジアーゴ・チーズの産地である。熱を少し加えたグラーナ・タイプのチーズで、ペコリーノに似て平らで丸く、重さは一つ9kgほどである。原産地名称保護制度 (DOP) による名称保護を受けており、アジアーゴで規定に従って生産されたチーズだけが「アジアーゴ・チーズ」という名称を使用できる。
文化・観光・施設
第一次世界大戦の激戦地
市街近くの丘には軍人墓苑 (it:Sacrario militare di Asiago) があり、記念碑(納骨堂)や博物館が建てられている。この記念碑は、パスビオ(イタリア語版)やモンテ・グラッパ、トネッツァ・デル・チモーネの戦争記念碑と同様に、ヴィチェンツァ県のシンボルとなっている。
軍人墓地 (it:Cimiteri di guerra dell'Altopiano dei Sette Comuni) には各国の戦没者が埋葬されている。
アジアーゴの戦いに従軍したエミリオ・ルッス(のちに小説家・政治家となる)は、『戦場の一年』でこの戦闘を描いている。アーネスト・ヘミングウェイも当地で戦った一人である。
天文台
アジアーゴには天文台が2つある。
パドヴァ大学が所有するアジアーゴ天文台 (it:Osservatorio astrofisico di Asiago) と、イタリア国立天文学研究所(INAF) (it:Istituto nazionale di astrofisica) のアジアーゴ・チーマ・エカール天文台 (it:Stazione osservativa di Asiago Cima Ekar) である。
1999年から、パドヴァ大学天文学部とドイツ航空宇宙センター(DLR)の共同プロジェクトとして、アジアーゴ・チーマ・エカール天文台の望遠鏡を用いて地球近傍天体を観測するアジアーゴDLR小惑星サーベイが行われた。
スポーツ
アイスホッケーのクラブチーム HC Asiago、インラインホッケーのクラブチーム Asiago Vipers が本拠を置く。
交通
空港
人物
著名な出身者
脚注
外部リンク
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