長い19世紀 (ながいじゅうきゅうせいき、英語 : The Long 19th Century )は、イギリス の歴史学者 エリック・ホブズボーム が著作『革命の時代』"The Age of Revolution : Europe 1789-1848 "、『資本の時代』"The Age of Capital, 1848-1875 "、『帝国の時代』"The Age of Empire, 1875-1914 "で提唱した時代概念である。ホブズボームはフランス革命 が始まった1789年 から第一次世界大戦 が始まる1914年 までを「長い19世紀 」と規定している。
長い19世紀に対比されるのが「短い20世紀 」である。
時代区分
長い19世紀は、以下の3つの時代に分けることができる。
革命の時代(1789年 - 1848年)
1789年 7月14日 、バスティーユ牢獄 の襲撃を発端とするフランス革命 が起き、その影響はヨーロッパ 各国へ波及した。その後、ナポレオン・ボナパルト の登場、ウィーン体制 を経て、1848年 革命へと到る。
結果、西ヨーロッパ では国民国家 が成立し、主権 は国王 や皇帝 のものであるという観念が崩れることとなった。東ヨーロッパ の国々も西に追随する形で改革を急ぐこととなる。
資本の時代(1848年 - 1875年)
フランス第二共和政 の成立、またドイツ 三月革命 の勃発をきっかけに、ヨーロッパは再編されていく。イギリスはパクス・ブリタニカ を謳歌し、ドイツとイタリア は国内を統一、ロシア はアレクサンドル2世 のもと改革を進めていく。
また産業革命 の結果、鉄道網の建設やスエズ運河 の開通などインフラが整備され、ブルジョワジー 階級がヨーロッパ世界を動かすようになる。
帝国の時代(1875年 - 1914年)
ベルリン会議 以降、ビスマルク体制 によって平和がもたらされた。ブルジョワジー階級が推し進めた資本主義 は、その膨大に蓄積された余剰資本の投下先としてアジア ・アフリカ の植民地 を求めた。
これが世界の分割を進める帝国主義 となり、世界各地でのヨーロッパ列強の対立を招き、第一次世界大戦 へ突入していく要因となる。
参考文献
The Age of Revolution: Europe 1789-1848 , Praeger Publishers, 1962
The Age of Capital, 1848-1875 , Weidenfeld and Nicolson, 1975.
柳父圀近・長野聰・荒関めぐみ・松尾太郎・山崎清 訳『資本の時代 1848-1875(1・2)』 みすず書房 1981-1982年
The Age of Empire, 1875-1914 , Pantheon Books, 1987.
野口建彦 ・長尾史郎 ・野口照子訳『帝国の時代 1875-1914(1・2)』 みすず書房, 1993-1998年
関連項目