アーミッシュ研究も裁判用語研究も、内からではなく外部からという視点で行っている。アーミッシュの代表的研究に、アメリカ学会の英文学会誌『The Japanese Journal of American Studies No.8』(1997)に掲載された「The Samuel D. Hochstetler Case (1948)」[5]がある。アーミッシュ社会でアーミッシュ側の資料のみでアーミッシュの代表的な冤罪事件とされてきた事件を、捜査機関の資料を入手して冤罪ではなくアーミッシュの信仰をめぐる家族内の事件であるとしたため、アーミッシュやメノナイトの間で驚きを持たれている[6][7]。裁判用語研究では、『裁判おもしろことば学』(大修館、2009年)がある。この本は、言語学者が国語系の出版社から法律用語について市民の目線から分析したというものである。
法言語学関連の論文として、「証人テスト」のあり方について言語学から検証した「A Presumption of Guilt Rather Than A Presumption of Innocence? Forensic Linguistic Analysis of A Japanese Criminal Case of Complicity in the Saiban-in Trial」『Yonsei Law Journal Vol.3 No.1, May 2012』がある。「証人テスト」は、証人尋問の前に、その証人を呼んだ検察官や弁護人が事件の事実を確かめるために行う打合せをことで、証人の緊張や記憶の曖昧さにより公判の進行が滞ることを防ぐための証人尋問の準備である。大河原は、ある傷害致死事件で、検察官の立証趣旨に沿った証言を証人に植え付けた可能性を言語運用から明らかにし、この分析は意見書として控訴審に提出した。この論文は、英語で書かれているが、短縮版であるが日本語で書いたものには、『法と言語』(くろしお出版、2012年)の第3章「裁判のことば」がある。裁判員裁判の評議の談話分析として、『The Oxford Handbook of Language and Law』(Oxford University Press, 2012年)に「Courtroom Discourse in Japan's New Judicial Order」もある。
^The Social Motivation of a Sound Change, Sociolinguistic Patterns. The University of Pennsylvania Press. (1972年). p. 1-42
^Comparing the Roles of Residents in the Resort Town of Karuizawa in Japan and residents of Martha's Vineyard in America, Current Trends in the Global Economy from the Perspectives of Japanese and Polish Economists. Publishing House of Wroclaw University of Economics and Business. (2021)
^Mami Hiraike Okawara (1997). “The Samuel D. Hochstetler Case (1948)”. The Japan Journal of American Studies8: 119-142.
^The Gothic Tale of Lucy Hochstetler and the Temptation of Literary Authority, The Body and the Book. Keystones Books. (2009)
^Steven M. Nolt (2013). “Moving Beyond Stark Options: Old Order Mennonite and Amish Approaches to Mental Health”. Journal of Mennonite Studies: 133-151.