ヴィクトル・オレーゴヴィチ・ペレーヴィン(ロシア語: Ви́ктор Оле́гович Пеле́вин, ラテン文字転写: Viktor Olegovich Pelevin, 1962年11月22日 - )は、ロシアの小説家。モスクワ生まれ。SFに近い幻想小説の書き手で、国内外に幅広い読者を持つ[1]。
経歴
ヴィクトル・オレーゴヴィチ・ペレーヴィンは1962年11月22日にモスクワに生まれ、母親は英語教師ジナイダ・セミョノヴナ・エフレモワ、父親はバウマン・モスクワ工科大学の軍事部門教師であるオレグ・アナトリエヴィチ・ペレーヴィンであった[2]。彼はモスクワのトベルスコイ通り(英語版)に住んでいたが、後にモスクワ郊外の住宅地チェルタノヴォ(英語版)へ移った。1979年にペレ―ヴィンはモスクワ中心部スタニフラフスキー通りの、英語特待生制度があるエリート高等学校、現在のカプツォフ学校を卒業した。
彼はその後モスクワ電力工学大学(英語版) (MPEI) に入学し、1985年に電気機械工学の学位を取得して卒業した[3]。その年の4月、MPEIの送電部門は彼を技師として採用した。ペレーヴィンはロシア空軍にも所属した[4]。1987年から1989年まで、彼はMPEIの大学院で学んだ[3]。
ペレ―ヴィンはしばしばアジアを旅行し、ネパール、韓国、中国、そして日本を訪れている[5]。仏教徒だとは言っていないが、仏教の修行に取り組んでいる[6]。彼はドラッグを常用しているにもかかわらず、青年時代に精神を拡張する実験を行っていたが、中毒者ではない、と繰り返し述べている[7]。彼は結婚していない[8]。
ペレービンはSNS(Facebook、Twitter、フコンタクテなど)のアカウントは持っていない[9]。
2018年12月、作家ヴィクトール・ペレ―ヴィンがロシア連邦年金基金(英語版)モスクワ地方事務所に個人事業主として登録した、とメディアは報じた[10]。
作家として
1991年に刊行した短編集『青い火影』がベストセラーになると共にロシア・ブッカー賞(英語版)(1993年)をはじめとする数々の賞を受賞し、一躍現代ロシア文学をリードする作家となった。1989年にロシアで起こった文学潮流「ターボ・リアリズム」の旗手として活躍しており、現代ロシアにおいて最も支持を集める作家の一人である。実験的な作風と高い人気を兼ね備えた作家として、国外からも注目を集めている。
主な作品
日本語訳
(年代は日本語訳の出版年)
- 『作品集「青い火影」(1)眠れ』三浦清美訳(群像社, 1996年)ISBN 4-905821-41-X
- 『虫の生活』吉原深和子訳(群像社, 1997年)ISBN 4-905821-44-4
- 『恐怖の兜』中村唯史訳(角川書店, 2006年)ISBN 4-04-791523-8
- 『チャパーエフと空虚』三浦岳訳(群像社, 2007年)ISBN 978-4-903619-04-0
- 『宇宙飛行士オモン・ラー』尾山慎二訳(群像社, 2010年)ISBN 978-4-903619-23-1
- 『作品集「青い火影」(2)寝台特急 黄色い矢』中村唯史, 岩本和久訳(群像社, 2010年)ISBN 978-4-903619-24-8
- 『ジェネレーション〈P〉』東海晃久訳(河出書房新社, 2014年)ISBN 978-4-309-20652-3
- 『汝はTなり:トルストイ異聞』東海晃久訳(河出書房新社, 2014年)ISBN 978-4-309-20663-9
- 『iPhuck10』東海晃久訳(河出書房新社, 2018年)ISBN 978-4-309-20747-6
- 「聖夜のサイバーパンク、あるいは「クリスマスの夜-117.DIR」」沼野充義訳、『ヌマヌマ : はまったら抜けだせない現代ロシア小説傑作選』(河出書房新社、2021年)所収 ISBN 978-4-309-20840-4
日本語訳未公刊
- 『数』
- 『Священная книга оборотня』
- 『帝国В』
- 『П5』
脚注
参考文献
外部リンク