ラウル・セルヴェ(オランダ語: Raoul Servais、1928年3月1日 - 2023年3月17日)は、ベルギーのアニメーション作家[1]。「ベルギーアニメーションの父」とも呼ばれ、幻想的なイメージを描き出す独自の手法は、「セルヴェグラフィ」として知られる[1]。
略歴
1928年3月1日にオーステンデに生まれる。父はアマチュア映画作家であり、その影響から映画に触れる機会は多かった[1]。
ヘント王立美術アカデミー(英語版)(ヘント)で絵を学びながら、アニメーション制作を始めるようになる[1]。アカデミー卒業後は、兵役を含めさまざまな職業を転々とした[1]。ルネ・マグリットやアンリ・ストルク(英語版)の仕事を手伝ったこともあった[1]。
1959年に16mmフィルムで『港の灯(オランダ語: Havenlichten,英語: Harbour Lights』を完成させ、これが実質的なデビュー作となる。『港の灯』はアントワープ・ナショナル・フィルム・フェスティバルに出品され、そこで賞を受賞する。アントワープ・ナショナル・フィルム・フェスティバルでアニメーション作品が賞を受賞するのは本作が初めてであった。
その後『クロモフォビア(Chromophobia)』(1966年)や『人魚(Sirène)』(1968年)などの短編の描き絵アニメーションを制作しベルギー国内外で40以上もの賞を獲得した。
1979年に発表された『ハーピア(Harpya)(英語版)』では、実写とアニメーションの融合を初めて試み、1979年カンヌ国際映画祭で短編映画パルム・ドール(フランス語版)を受賞している。
1997年に発表された『夜の蝶(Nachtvlinders)(ドイツ語版)』では、デジタル的な手法を用いず、実写で撮影したフィルムをセル画にプリントしてから着色し、背景と共に再度撮影することで、幻想的なイメージを作り出している[1]。
ヘント王立芸術アカデミーにアニメーションフィルム学科を創設するなど、ベルギーのアニメーション教育にも貢献している[1]。
ユーロスペース(東京都渋谷区)で2000年12月に『夜の蝶』、『クロモフォビア』など5作のラウル・セルヴェ作品が日本初上映されたが、2001年2月までロングヒット記録となった[2]。
2023年3月17日、自宅にて死去[3]。95歳没。
参考書籍
出典
関連項目
外部リンク