初版の楽譜の表紙
米国海兵隊音楽隊による演奏、1906年(『メイプル・リーフ・ラグ』の録音のなかでは最初期の貴重な録音として知られる)。
『メイプル・リーフ・ラグ 』(英 : Maple Leaf Rag )は、スコット・ジョプリン が1899年 に楽譜を出版したピアノ のためのラグタイム 。曲名の「メイプル・リーフ」とは、英語で「カエデ の葉」のことである。ジョプリンの作品の中でも有名なものの一つであり、ジョプリンのラグタイム作品としては『オリジナル・ラグ 』に次ぐ2作目だった。
出版までの経緯
アーサー・マーシャル (英語版 ) 、1900年撮影。
『メイプル・リーフ・ラグ』を演奏する男性が絵描かれた漫画
『メイプル・リーフ・ラグ』はミズーリ州 セダリア (英語版 ) と関連するとされる。ジョプリンは1890年代初にはアメリカを旅しながらミュージシャンとして演奏しており、1894年にセダリアに着いてアーサー・マーシャル (英語版 ) (マーシャルはのちにジョプリンのもとで学び、ラグタイムの作曲家になった)の家に身を寄せた。ジョプリンはダンスパーティーやセダリアの主だった黒人向けクラブでソロミュージシャンとして演奏し、演奏したクラブには「メイプル・リーフ・クラブ」(Maple Leaf Club )も含まれた。曲名が「メイプル・リーフ・クラブ」に由来する可能性はあるものの、直接的な証拠はなく、セダリア周辺には「メイプル・リーフ」の由来になりうるものが多数あった。
『メイプル・リーフ・ラグ』が発表された頃にはラグタイム作品が数百作は出版されていたが、ジョプリンが流行に乗り遅れたわけではなかった。ジョプリンが出版したラグタイム作品は1899年3月の『オリジナル・ラグ 』が最初だったが、『メイプル・リーフ・ラグ』は1899年に楽譜が出版される以前にすでにセダリアで知られており、作曲家・ピアニストのブラン・キャンベル (英語版 ) は1898年ごろに同作の手稿を見たことがあると主張した。ジョプリン自身は出版の前に成功を予想しており、マーシャルに「『メイプル・リーフ』は私をラグタイム作曲家の王にする」と述べた。
第2版の表紙
『メイプル・リーフ・ラグ』が出版に至った経緯はよく知られておらず、いくつかのお互い矛盾する説が存在する。いずれにせよ、ジョプリンは出版社を数社訪れた後、1899年8月10日にジョン・スティルウェル・スターク (英語版 ) と出版契約を結び、楽譜1部の最低価格を0.25米ドルとし、印税を1部0.01米ドルとした。アメリカ合衆国著作権局 が9月20日に楽譜2部を受け取ったため、『メイプル・リーフ・ラグ』が8月10日と9月20日の間に出版されたことは確実である。
『メイプル・リーフ・ラグ』は1900年/1901年に再出版され、緑色のカエデ の葉とジョプリンの写真が入った新しい表紙が設計された。1903年、スタークがアレンジとして『メイプル・リーフ・ラグ・ソング』(Maple Leaf Rag Song )を出版、シドニー・ブラウン(Sydney Brown )による歌詞をつけた。
歌詞
原曲には歌詞がなかったが、1903年にスタークが出版した『メイプル・リーフ・ラグ・ソング』はシドニー・ブラウンによる歌詞がつけられた。ブラウンの歌詞ではバージニア州 アコマック郡 出身の貧しい男がダンス場に入り、自身の見た目について緊張したものの『メイプル・リーフ・ラグ』で喝采を受けた。ダンス場にいた男性たちは男を嫉妬したが、女性たちは男の周りに集まり、うち「最もいい女」(De finest belle )が馬車を呼び、2人が一緒に馬車に乗って去ったところで曲が終わる[ 9] 。
影響
1973年 公開のアメリカ映画 『スティング 』のBGM として使われ、同映画で使用された『ジ・エンターテイナー 』と同様の知名度を誇っている。このほか、1983年に発売されたアーケードゲーム 『ドミノ・マン (英語版 ) 』でBGMとして使用された[ 10] 。
出典
^ Curtis, Susan (July 2011). "Black Creativity and Black Stereotype: Rethinking Twentieth-Century Popular Music in America". In Brundage, W. Fitzhugh (ed.). Beyond Blackface: African Americans and the Creation of American Popular Culture, 1890-1930 (英語). Chapel Hill, NC: North Carolina Scholarship Online. doi :10.5149/9780807878026_brundage.10 . ISBN 978-1469602967 。
^ Hill, Kip (4 April 2016). "This week's free game: "Domino Man" " . The Spokesman-Review (英語). 2023年4月20日閲覧 。
参考文献
外部リンク
英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。