Sankar Chatterjeeは1978年にインド産パラスクス類の完全な化石を数多記載しており、それらがブラキスクス(英語版)(アンギストリヌスに近縁あるいはシノニム)とフィトサウルス(英語版)(疑問名、おそらくニクロサウルス(英語版)とのシノニム)のいずれにも分類できないことを示した。彼はリンコサウルス類の頭蓋骨が P. hislopi のホロタイプとパラダペドン・ハクスリーイのレクトタイプのいずれにも該当しないと主張した。彼はライデッカーの吻部化石と保存の良い新たな要素に基づいて P. hislopi を再導入した[2]。さらなる混乱を防ぐため、標徴形質を示さない P. hislopi のホロタイプ標本はChatterjee (2001) の申請により、動物命名法国際審議会の許可を受けてネオタイプ標本 ISI R42に置換された[3]。
ライデッカーが記載した部分的な前上顎骨 GSI H 20/11はSankar ChatterjeeによりParasuchus hislopi のレクトタイプ標本に選ばれている。GSI H 20/11 はアーンドラ・プラデーシュ州アーディラーバード県のMaleri villageの付近にて、Pranhita-Godavari盆地の下部マレリ層(英語版)から収集された。その後、2003年にネオタイプ標本の化石が承認されたため、レクトタイプの指定は廃止されている[3]。
Sankar Chatterjeeは後に下部マレリ層から産出したより包括的な化石を記載したほか、ティキ層(英語版)から産出したほぼ完全な頭蓋骨も記載し、Parasuchus hislopi として分類した。完全な頭蓋骨を含む完全かつ関節した2体の骨格もまた、アーディラーバード県のMutapyram villageにて下部マレリ層から収集された。両個体とも全長は約8メートルであり、並列に横たわっていた。左の個体 ISI R 42 は完全に保存されており、本種のネオタイプに指定された[3]。右の個体 ISI R 43 はほぼ完全であり、吻部の一部のみが失われている[2][5]。
当該の2個体の胃内容物と思われる遺骸として、2体の関節したほぼ完全な主竜様類Malerisaurus robinsonae の骨格(いずれも ISIR 150 に指定)が発見されている[6]。ネオタイプと同一の産地からは、結合した基後頭骨-基蝶形骨(ISI R 45-47)が孤立して発見されている。産地から数マイル北方では、より保存の良い2個の頭蓋骨が発見されている。ISI R 160は孤立しているがほぼ完全な頭蓋骨であり、ISI R 161は部分的な頭蓋骨および関節した体骨格要素である[2]。最後に、ティキ層のティキスクス(英語版)のホロタイプのサイト[7]から産出した1個の頭蓋骨は、吻部の先端と鱗状骨しか失われていない。本属のレクトタイプと同様に、この標本はパラダペドンの遺骸の付近で発見されている[2]。両層の年代は後期三畳紀の後期カーニアンから前期ノーリアンにあたり、約2億2250万年前から約2億1200万年前に相当する[7][8]。
分類
関節した2つの骨格 ISI R 42-43 は既知の範囲内で最も完全な植竜類の骨格を代表する。加えて、植竜類の系統解析においてパラスクスは最も基盤的な植竜類の1つとされており、植竜類の起源を考える上で非常に重要である[9]。Chatterjee (1978) や Lucas et al. (2007) といったいくつかの研究では、パラスクスは他の基盤的植竜類であるパレオリヌス(英語版)と同属異名(シノニム)の関係にあるとされる。この場合、Paleorhinus は Parasuchus が命名された19年後の1904年に命名されているため、学名 Parasuchus は Paleorhinus に対して優先権を持つ。Kammerer et al. (2016) が実施した系統解析では、Parasuchus hislopi は種 Paleorhinus bransoni と Paleorhinus angustifrons を含む最も包括的でない系統群の内部に位置付けられた。このためパラスクス属はパレオリヌス属(およびアルガナリヌス(英語版))のシニアシノニムとなり、種 Paleorhinus bransoni と Paleorhinus angustifrons および Arganarhinus magnoculus はパラスクス属に位置付けられる[5]。以下のクラドグラムはKammerer et al. (2016)に従う[5]。
^Sankar Chatterjee (1980). “Malerisaurus, A New Eosuchian Reptile from the Late Triassic of India”. Philosophical Transactions of the Royal Society of London, Series B291 (1048): 163–200. Bibcode: 1980RSPTB.291..163C. doi:10.1098/rstb.1980.0131.
^ abS. Chatterjee and P. K. Majumdar (1987). “Tikisuchus romeri, a new rauisuchid reptile from the Late Triassic of India”. Journal of Paleontology61 (4): 787–793. doi:10.1017/S0022336000029139.