スーパー・ハイ・マテリアルCD (スーパー・ハイ・マテリアルシーディー、Super High Material CD , 通称・略称:SHM-CD )は、ユニバーサルミュージックジャパン の新倉紀久雄が提案し、日本ビクター (現在のJVCケンウッド・クリエイティブメディア株式会社)と共同開発した高音質音楽CD の名称。2007年 11月に製品化された[ 1] 。
材質が改善されたが、規格としては従来の音楽CD と変わらないため、既存のCDプレイヤー で再生できる。
概要
特徴は、ディスク製造プロセスにおいて、通常の製造で使うものよりも透明度が高く、高流動性、高転写性が特徴の別種の液晶パネル 用ポリカーボネート 樹脂を素材として採用した点である。このため「高素材CD」とも呼ばれる。
これによりCDの信号が記録されたスタンパーのピットをより正確にディスクに転写することが可能となった。そのためCDの再生時に、その信号をより忠実にCDプレイヤーのピックアップ で読みとらせることが可能となり高音質になったとされる[ 2] 。
言い換えると、物理的なエラーの発生要因を素材レベルで低減するものであり、訂正不能エラー(C2エラー)が発生していない条件下では通常のCDとSHM-CDとの間で読み出されるデジタルデータに差異は無い。
当初のラインナップのSHM-CDのケースは通常のものより若干厚めで、ケース蓋にSHM-CDの文字(ロゴ)が浮き彫りで刻印されていた。その後に発売されたSHM-CDのケースは通常CDと同じ仕様に変更されている。
SHM-CDは、現時点で主に日本国内のみの製造・流通であるが、一部のSHM-CDは北米 などに輸出され、現地で輸入盤 として販売されている。
その他の高音質CD技術
SHM-CDを追随した類似のCDで「ハイ・クオリティCD (HQCD) 」があるが、これはメモリーテック が開発したものである。EMIミュージック・ジャパン (現在のユニバーサルミュージックLLC内「EMIレコーズ・ジャパン」レーベル)とポニーキャニオン と日本コロムビア とエイベックス・マーケティング は、各々の音源をクオリティCDとして発売した。ただしEMIは音源によってはSHM-CDも、日本コロムビアはブルースペックCDも採用している。SHM-CDとの相違点は、反射膜に特殊合金 が使用されていることである。
ソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ) が開発した「ブルースペックCD 」も、SHM-CDに似たCDである。こちらはブルーレイディスク の素材と製造技術を応用している。
2010年 6月、ユニバーサルミュージックは、Super Audio CD にSHM素材を用いた「SA-CD SHM仕様」の発売も開始した[ 3] 。
その他、日本ビクター 、キングレコード から、XRCD にSHM素材を使用した「XRCD(SHM-CDエディション)」も発売されている。
レコード会社との関係
当初、SHM-CDはユニバーサルミュージックジャパンのみが企画・販売し、共同開発先のビクタークリエイティブメディア(現:JVCケンウッド・クリエイティブメディア )だけが製造を担っていた。しかし2008年 7月、ユニバーサルミュージックジャパンとビクタークリエイティブメディアはソニー・ミュージックコミュニケーションズ(現:ソニー・ミュージックソリューションズ )とSHM-CDの量産能力向上で協力関係を結んだ。同時にビクタークリエイティブメディアの協力のもと、ソニーDADCジャパン (現:ソニー・ミュージックソリューションズ 大井川・静岡・茨城プロダクションセンター)にもSHM-CDの製造ラインを設置し増産体制を整えた[ 4] [ 5] 。
これによりビクターエンタテインメント (初代法人、後のJVCケンウッド・ビクターエンタテインメント → ビクターエンタテインメント〈二代目法人〉)、テイチクエンタテインメント といったビクター傘下のレーベルはもとより、ワーナーミュージック・ジャパン 、ポリスター 、BMG JAPAN (以下BMGJ)、キングレコード 等も採用を表明したが、BMGJ はソニー・ミュージックエンタテインメント 傘下(後に同社に吸収合併され解散、旧BMGJは2024年 現在、ソニー・ミュージックレーベルズ の社内レーベル であるアリオラジャパン として機能している)に入ってからもSHM-CDを発売していたが、2009年4月にブルースペックCD 陣営に切り替わった。
サンプラーCD
全てSHM-CDと通常CDの2枚組(曲目は同一)。各1000円。
脚注
出典
関連項目