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この項目では、母音としてのシュワーについて説明しています。アゼルバイジャン語などに使われるラテン文字については「Ə」を、キリル文字については「Ә」をご覧ください。 |
- 母音
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記号が二つ並んでいるものは、左が
非円唇、右が
円唇。
- 国際音声記号 - 母音
シュワー(独: Schwa)とは母音の一つ。または、その音を表す音声記号・文字 ə のこと。
音素
シュワーは、音素として「中舌中央母音」または「曖昧母音」を指す。同じ記号で表記されていても、両者は異なる。
中舌中央母音
一つは国際音声記号によって定められた中舌で口の開きの度合いも中間的な中央母音 [ə] を指す。これを中舌中央母音(なかじた・ちゅうおうぼいん)または中段中舌母音(ちゅうだん・なかじたぼいん)という。
曖昧母音
もう一つは曖昧母音(あいまいぼいん)とも呼ばれ、各言語において見られるはっきりとした特徴のない中性的な母音のことをいう。言語によっては前述の中舌中央母音 [ə] でないこともあるが、音素表記では /ə/ と書かれることが多い。
この曖昧母音を音素としてもつ言語の発音を日本語で表記する場合、原則として「イ段」以外で表記される[1]。
名称の由来
「シュヴァー」の名称は、ヘブライ語の文法用語における שוא (shva, sheva)に由来する。これは、ヘブライ語における軟母音(最短母音)をあらわす用語である。
「ə」の記号を中舌中央母音の意味で最初に使い、"Schwa"(シュヴァー)という名前を与えたのは、ドイツのエドゥアルト・ジーファースであったらしい[2]。
言語例
中舌中央母音としては以下のような例がある。
- タイ語 - เดิน [dəən] (“歩く”)
- ヒンディー語 - नमस्कार [nəməskɑːr] (“こんにちは”)
- ルーマニア語 - căutare [kəutare] (“検索”)
曖昧母音としては以下のような例がある。
- 英語 - England [ˈɪŋɡlənd] (“イングランド”)
- ドイツ語 - bitte [ˈbɪtə] (“どうぞ”)
- フランス語 - petit [pəti] (“小さい”)
ストレスアクセントとの関係
英単語の弱音部の音節の母音は、しばしばシュワに退化する。 例えばバナナ(banana)の発音は[bə-ˈnæ-nə]。[3]
脚注