シチシンはアセチルコリンのアゴニストであり、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する強い結合能を持つ。医薬品として喫煙の治療に用いられる。Cytisus laborinumの種子から抽出され、40年以上にわたり、かつての社会主義国において、Bulgarian pharmaceutical company Sopharma AD社のTabexという商品名で入手することができた。1964年にブルガリアで初めて販売され、その後社会主義国で広く販売されるようになった。シチシンと構造や薬理効果の似た合成薬バレニクリンは、2006年に禁煙薬として認可された。
2011年、740人の患者を対象としたランダム化比較試験により、プラシーボで2.4%、シチシンで8.4%の、12か月のニコチン自制効果が認められ、シチシンが禁煙に有効であることが明らかとなった[3]。2013年には、8つの研究のメタアナリシスによって、シチシンはアメリカ合衆国で既に認可されている他の禁煙薬と同程度の効果を持つことが示された[4]。2014年には、シチシン+行動支援 対 ニコチン代替療法(ニコチンパッチならびにガムまたはトローチ剤)+行動支援の比較臨床試験の結果が公表された。シチシン群はニコチン群よりも開始後一ヶ月時点での禁煙継続率で優れていた(シチシン群40.3% vs ニコチン群31.0%)が、有害事象発現率も大きかった(シチシン群31.1% vs ニコチン群20.5%)[5]。