KELT-9b は、地球から見てはくちょう座 の方向に約650光年 離れた位置にある恒星 KELT-9 (HD 195689)を公転する太陽系外惑星 で、K4型の恒星[ 注 2] に匹敵する表面温度を持つ[ 1] 。
発見
Kilodegree Extremely Little Telescope [ 注 3] による観測で、2014年に惑星の候補とされ、2015年の発見確認観測にて惑星だと確認された[ 2] 。
特徴
大きさの比較
木星
KELT-9b
KELT-9bの公転(想像図)
この惑星は、木星 の2.88倍の質量と、1.89倍の半径を持つ巨大ガス惑星 で、公転周期 が1.5日しかない事から、ホット・ジュピター に分類される[ 2] 。質量は木星 の2.8倍以上だが、密度は半分しかなく、主星からの激しい放射が、この惑星の大気を風船のように膨らませているとされる[ 5] 。
月 と地球の関係のように、惑星の片側は常に恒星の方を向いている[ 5] 。この惑星の昼側の表面温度は4,000Kを超え、オハイオ州立大学 の天文学者Scott Gaudiは、これまでに発見された中で最も熱い巨大ガス惑星 である、と述べている[ 5] 。ただし、主星をB型準矮星 やパルサー にまで分類を広げると、ケプラー70b (7,143K)、ケプラー70c (6,351K)、PSR J1807-2459b (5,921K)など、より高温の惑星も確認されている[ 6] 。主星から受ける極紫外線 は、A型星[ 注 4] のWASP-33 を公転するWASP-33b の700倍以上であり[ 1] 、強い紫外線により彗星 のように尾を引いている可能性も考えられている[ 5] [ 2] 。
Scott Gaudiは、質量は典型的な惑星であるとする一方 大気は既知の惑星と全く異なる、と述べている[ 5] 。惑星の大気には分子が含まれるのが普通だが、この惑星の昼側では激しい紫外線が阻害するため、水、二酸化炭素 、メタン などの分子は形成されない[ 5] [ 2] 。夜側も恐らく高温になり、分子は作成されても一時的なものであると考えられる[ 5] [ 2] 。
この他に特筆すべき点として、主星の自転軸に対し垂直に公転している[ 5] 。
その他
主星は白色のスペクトル型 A0[ 3] または、A型とB型[ 注 5] の境界線上の恒星とされ[ 1] 、A型星を公転する惑星はKELT-9bを除いても24個しか発見されておらず[ 7] 、より高温のB型星を公転する惑星は見つかっていない[ 1] 。
脚注
注釈
^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
^ 橙色の恒星で、主系列星 の場合は、K型主系列星 となる
^ Kilodegree Extremely Little Telescopeは、口径わずか4.2cmの望遠鏡2台を用いての観測チーム。望遠鏡の1つはアメリカに、もう1つは南アフリカに設置されている。
^ 白色の恒星で、主系列星 の場合は、A型主系列星 となる
^ 青白色の恒星で、主系列星 の場合は、B型主系列星 となる
出典
関連項目
外部リンク