IPTalkはIP上でAppleTalkのパケットをカプセル化するプロトコルである。すなわちAppleTalk over IPである。
概要
UNIX機は一般にRS-422ポートを有していない為、LocalTalk (AppleTalk over RS-422)を利用出来ない。また、イーサネットポートを有していても利用出来るのはTCP/IPのみでEtherTalk (AppleTalk over Ethernet)が利用出来ない場合がある。
このような場合、AppleTalkパケットをIP(具体的にはUDP)の上に載せることでAppleTalkを利用出来るようになる。この手法をIPTalkと呼ぶ。
実際の利用には、IPTalkと通常のAppleTalkの両方をサポートする専用ゲートウェイで物理的に接続する必要がある。
MacIP <--------------------> IP
(IP over AppleTalk)
+---------+ +-------+ +-------------------+
|Macintosh|------RS422------|Gateway|-----Ethernet,etc----|Internet, UNIX etc.|
+---------+ +-------+ +-------------------+
LocalTalk <----------------> IPTalk
(AppleTalk) (AppleTalk over IP)
LocalTalk <---------------> EtherTalk
(AppleTalk) (AppleTalk)
オープンソースのソフトウェアであるCAP (Columbia AppleTalk Package)はIPTalkを使うことが可能であり、UNIX機をMaintoshのファイルサーバやプリントサーバにする事が出来た。
ゲートウェイはIPTalkのパケットからAppleTalkパケットを取り出し、Macintoshへ流す。逆に、Macintosh側から届いたAppleTalkパケットをIPで包む。
また、遠隔地のネットワークとTCP/IPで接続している場合、IPTalkを用いればAppleTalkをトンネリングすることが出来る。
AppleTalkではRTMP、NBP、AECHO、ZIPにそれぞれAppleTalkポート1、2、4、6を割り当てるが、IPTalkではUDPポート201、202、204、206を割り当てる。
なお、IPTalkと逆の概念にMacIPがある。これはAppleTalk上でIPパケットをカプセル化するものである。
IPTalk、MacIP、EtherTalk等を必要に応じて利用することで、2つのネットワークを相互に利用出来るようになる。
IPTalkはKinetics社により実装されたため、KIP (Kinetics Internet Protocol)と呼ぶ事がある。この仕様はIETF (Internet Engineering Task Force)の"IP over AppleTalk"ワーキンググループによってドラフトとなったが、破棄されたためRFCにはならなかった。
現在
Macintoshがイーサネットを搭載するようになると、この上でAppleTalkを直接扱えるようになった。これをEtherTalkと呼び、UNIX側もEtherTalkに対応していればゲートウェイなしで直結出来る。ファイル共有はIP上で直接使えるAFP over TCPに移行している。
プリンタ共有のPAPはIP上に移植されなかったが、現在のmacOSはSMB(CIFS)、lpr、IPP等のIP上のプリンタ共有プロトコルに対応している。
Mac OS X v10.6ではAppleTalkは完全に廃止された。
こうしたことからAppleTalk自体が衰退しているため、IPTalkが使われることはまずない。
関連項目