Autism Network International (ANI) は自閉者達によって運営されているアドボカシー団体である。ANIの行動規範として反治療的パースペクティヴ(anti-cure perspective)が含まれる。これは自閉の人々を「治療」することをゴールとするようなことはあってはならないという視点である。
歴史
ANIは1992年にジム・シンクレア(英語版)、キャシー・グラント、ドナ・ウィリアムズによって始められた。[1] このアドボカシー・グループは自閉の人々の為に自閉の人々によって組織されたものである。[2] ANIはまずペンパルグループとして出発したが、彼らが初めて直接会ったとき、「彼らは帰属意識を、理解されたという、同じ観念を持って言葉を共有していて、自分たちは普通なのだ、という感覚を抱いた」。[3] シンクレアとその他の創始者たちは、参加者たちが問題(issue)についてオンラインフォーラムで議論できるような、そうしたオンラインコミュニティを作った。[4] ANIは会報 "Our Voice"の出版を始めた。これはANIのウェブ管理者を通して頒布された。[5]
ANIは「神経学的定型」(neurologically typical)という造語が為されるもとになった。[6] シンクレアは、自閉的であることの負の側面よりも、むしろ正の恩恵に視線を向けることを助けるものとして、ANIを用いた。[4] ANIは自閉の人々が「共有された自閉文化の中で楽しむという重要な教訓」を学ぶことを助けてきた。[7]
Autreat
AutreatはANIがホストとしてアメリカで開催する自閉の人々の為のretreatでありカンファレンスである。最初のAutreatは、1996年、[1]ニューヨークのCamp Bristol Hillで開催された。[2] 1999年には、日本から遠くやって来たひとりの女性が含む、80人が出席していた。[4]2012年現在、Autreatは2001年を除いて毎年開催されている。Autreatは自閉者によって企画された自閉者の為のカンファレンスである。[8]このことは、ANIが大抵は自閉者「に関する」けれども親や専門家「の為に」意図されているものだと信ずるところの、その他の自閉症カンファレンスとは対照的である。Autreatは、親や専門家その他の人々も歓迎するが、それは自閉者達の為に特別にデザインされており、自閉に友好的(英語版)な環境、感覚の爆撃(sensory bombardment)から自由な環境を要請する。ゲストらは社会的交流への圧力を受けない。カラーバッジの形を取る視覚的なコードは、誰か或いは誰とでも交流を望むメンバーであるか、よく知らない他人から話しかけられることを望まないメンバーであるか、誰からも話しかけられることを望まないメンバーであるか、を示すものである。[9]
Autreatは毎年春の自閉者の集会であって、そこではある種の自閉的振る舞いは推奨される。Autreatの参加者は例えば会話の為に近付かれることを望むか否かを示す、色分けされたバッジを着けてもよい。非常に文語的な会話や手をひらひらさせる(hand-flapping)ような、ありふれた自閉的な癖は当然のこととされる。他方、カジュアルなハグや蛍光照明のような、一般的に自閉者の苛立ちの原因となるものは期待されない。[10]Autreatは自閉者に「不適合なサブカルチャーを追求し楽しむ場」を与えるのに役立っている。[11]
イングランドのAutscape、スウェーデンのProjekt Empowermentなど、Autreatは他国での同様のプログラムに影響を与えている。[2]
参照文献
- ^ a b Shapiro, Joseph (26 June 2006). “Autism Movement Seeks Acceptance, Not Cures”. NPR. http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=5488463 29 February 2016閲覧。
- ^ a b c Silberman, Steve (23 September 2015). “Our Neurodiverse World”. Slate. http://www.slate.com/articles/health_and_science/science/2015/09/the_neurodiversity_movement_autism_is_a_minority_group_neurotribes_excerpt.html 29 February 2016閲覧。
- ^ Cohen, Shirley (2006). Targeting Autism: What We Know, Don't Know, and Can Do to Help Young Children With Autism Spectrum Disorders (3rd ed.). University of California Press. pp. 204. ISBN 9780520933019. https://books.google.com/books?id=kty7nftOLLAC&lpg=PA204&dq=%22autism%20network%20international%22&pg=PA204#v=onepage&q=%22autism%20network%20international%22&f=false
- ^ a b c “Learning to Live With Autism”. Syracuse Herald Journal. (16 August 1999). https://newspaperarchive.com/us/new-york/syracuse/syracuse-herald-journal/1999/08-16/page-15?tag=autism+network+international&rtserp=tags/?pep=autism-network-international 1 March 2016閲覧。
- ^ McConnaughey, Janet (21 October 1996). “Autistics Live In Chaotic World”. Cedar Rapids Gazette. https://newspaperarchive.com/us/iowa/cedar-rapids/cedar-rapids-gazette/1996/10-21/page-51?tag=autism+network+international&rtserp=tags/?pep=autism-network-international&page=2 1 March 2016閲覧。
- ^ Brownlow, Charlotte (1 July 2009). “Representations of Autism: Implications for Community Healthcare Practice”. Community Practitioner. オリジナルの2016年5月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160505152712/https://www.highbeam.com/doc/1P3-1777521561.html 2018年1月30日29 February 2016閲覧。
- ^ Paradiz, Valerie (2 February 2003). “This Is Who My Son Was Born To Be”. Cedar Rapids Gazette. https://newspaperarchive.com/us/iowa/cedar-rapids/cedar-rapids-gazette/2003/02-02/page-354?tag=autism+network+international&rtserp=tags/?pep=autism-network-international 1 March 2016閲覧。
- ^ “'NeuroTribes' Examines The History — And Myths — Of The Autism Spectrum”. Nashville Public Radio (NPR). (2 September 2015). http://nashvillepublicradio.org/post/neurotribes-examines-history-and-myths-autism-spectrum 29 February 2016閲覧。
- ^ Sinclair, Jim. “History of ANI”. January 26, 2009時点のオリジナルよりアーカイブ。29 February 2016閲覧。
- ^ Harmon, Amy (2004年12月20日). “How About Not 'Curing' Us, Some Autistics Are Pleading”. The New York Times. 2008年5月2日閲覧。
- ^ Straus, Joseph (2015). “Autism and Serialism as Cultural Modernism”. In Howe, Blake. The Oxford Handbook of Music and Disability Studies. Oxford University Press. pp. 696. ISBN 9780199331444. https://books.google.com/books?id=S7NlCwAAQBAJ&lpg=PA696&dq=autreat&pg=PA696#v=onepage&q=autreat&f=false
外部リンク