500メートル球面電波望遠鏡(中国語: 五百米口径球面射电望远镜、FAST、Five-hundred-meter Aperture Spherical radio Telescope、通称: 天眼[1])は、中国南西部の貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州平塘県にある、世界最大の電波望遠鏡。中国科学院国家天文台により建設された。中国で「天眼の父」[2]と呼ばれている高名な満州族[3]科学者である同天文台の南仁東(中国語版)が、この計画の責任者を務めた。建設費は約12億元といわれている。
概要
4,450枚(記事によっては4,600枚)の三角形の反射パネルを組み合わせ、固定球面鏡を形成し、望遠鏡直径は本望遠鏡完成まで世界最大であったアレシボ天文台(305メートル)を上回る500mである。
自然のくぼ地(大窩凼窪地)[4] を利用して作られている[5]。
球面鏡であり、受信機は500mの鏡面全体をカバーすることはできず、有効直径として機能するのは300m分である。地面に固定されているため、観測可能範囲は天頂から40度の範囲までである。観測周波数は0.3-5.1GHzを、指向精度は4秒角を見込んでいる[6]。
施設の建設に際し、地上からの電波や光の干渉を取り除く為、周囲5kmに渡る「緩衝圏」と称すエリアが設定され、「緩衝圏」周辺には、観光客向けの博物館や宇宙をテーマにしたホテル及びレセプション施設が入る公園(総工費15億元と、望遠鏡施設より高い)が建設された。
中国科学院の白春礼院長がスピーチにおいて、この500メートル電波望遠鏡を鍋として利用し、チャーハンを作ったならば、全世界の人に茶碗4杯いきわたると述べた[7]。これは、茶碗1杯を一合、世界人口を75億人とすると、使用するコメの量は450万トン、炊飯に使用する水の量を一合当たり200ミリリットルとすると600万立方メートルとなる。
計画から完成まで
1994年に計画が提案され、2008年10月に中華人民共和国国家発展改革委員会に承認され、12月26日、定礎式が開催された[8]。
2011年3月に着工、2016年7月3日に最後の反射パネルがはめられ、工事が完了し[9]、9月25日に稼動を開始した[10]。翌26日、習近平党総書記が運用開始を祝賀し書簡を送ったと報じられた[11]。2020年1月11日に調整を終え正式に稼働を始めた[1]。なお内外の研究者への開放と共用が検討されている[1]。
500メートル球面電波望遠鏡でなされた発見
問題
望遠鏡と「緩衝圏」の建設にあたり、約1万人(報道によっては約9,000人)の住民の強制移住が行われた。このことについて、国営メディアの新華社は「(移転後は)より良い生活水準が期待できる」と報じるも、地元住民による訴訟も発生した[16]。
出典
参考文献
関連項目
座標: 北緯25度39分9秒 東経106度51分24秒 / 北緯25.65250度 東経106.85667度 / 25.65250; 106.85667