隆明(りゅうみょう、寛仁3年(1019年) - 長治元年9月14日(1104年10月4日))は平安時代中期から後期にかけての天台宗の僧。権中納言・藤原隆家の子。羅惹院僧正または三室戸寺を中興して三室戸僧正と号す。三井(園城寺)の門流で増誉とならび称された。
園城寺の心誉・明尊に師事。治暦元年12月(1066年1月)に権律師に任ぜられる。白河天皇・堀河天皇の護持僧を務め、承保元年12月27日(1075年1月16日)にその功が賞されて権少僧都に任ぜられる。承徳2年(1075年)正月に法印に叙せられ、応徳3年(1086年)11月、大僧都に昇任した。寛治5年(1091年)5月6日、権僧正に補任。同年郁芳門院の御悩の平癒を祈願している。寛治6年(1092年)崇福寺別当となる。この間の承暦4年(1080年)に白河上皇の御願により園城寺に羅惹院を建立した。嘉保2年(1095年)輦車をゆるされる。
三室戸寺を中興し、嵯峨釈迦堂別当在任時、清凉寺の三国伝来の釈迦像を模刻して三室戸寺に安置している。梵釈寺別当、法成寺寺務執行を歴任し、承徳2年(1098年)4月、園城寺長吏に補任され、康和4年(1102年)5月に大僧正に至った。長治元年(1104年)9月14日、三室戸寺に86歳で入寂。「真言を深く知り、頗る止観を学ぶ、甚だ験力有り」と評された[1]。付法に勝覚・永快・証昭・定覚・基明・澄覚・顕覚・義範・静証・尊義・範賢・珍範がいた[2]。『続後撰和歌集』に和歌1首が入集している。
脚注
参考文献
- 「隆明」(僧綱補任(群書類従補任部))
- 佐々木令信「隆明」(吉川弘文館『國史大辭典 7』、1993年)