陳景潤 (ちん けいじゅん、Chen Jingrun, 1933年 5月22日 - 1996年 3月19日 )は中華人民共和国 の(たくみな応用)数学者 。専門は数論 、特に解析的整数論 。ゴールドバッハ予想 などの一般にも親しみやすい題材で著しい業績を挙げ、特に中国国内で有名であり、切手の題材になったこともある。
略歴
福建省 の福州市 生まれ。1953年厦門大学 卒。中国科学院 で華羅庚 に師事する[ 1] 。4期から6期まで(1975年1月 - 1988年3月)の全国人民代表大会 代表。
業績
陳は、ゴールドバッハ予想 に関して次のことを証明した。
十分大きな偶数 は、素数 p および高々 2つの素数の積である整数 n の和 p + n の形で表せる。
これは陳の定理 (Chen's theorem)と呼ばれる。また、同時に双子素数 の問題に関連した「共役的な」次の結果を示した。
p + 2 が高々2つの素数の積である素数 p は無数に存在する。
以上の結果は1966年に報告され、1973年と1978年に詳しい証明が発表された[ 2] 。また、陳はウェアリングの問題 に関連して、1964年に次のことを証明した(発表は1965年)[ 3] 。
全ての自然数 は、37個以下の正の5乗数の和で表せる。
記念物
厦門大学内にある陳景潤の像
1996年12月24日に北京天文台CCD小惑星観測プログラム によって発見された小惑星番号 7681 の小惑星 には、陳の名が付けられている。2006年、母校の厦門大学に陳の像が建てられた。
1999年に中国で発行された額面80分 の記念切手 に、陳のシルエットとともに数式
P
x
(
1
,
2
)
≥ ≥ -->
0.67
x
C
x
(
log
-->
x
)
2
{\displaystyle P_{x}(1,2)\geq {\frac {0.67xC_{x}}{(\log x)^{2}}}}
が書かれたものがある[ 4] 。陳は、この不等式が十分大きな偶数 x に対して成り立つことを示した[ 5] 。左辺は x を素数および高々2つの素数の積の和に表す方法の個数を意味し、右辺の C x は x に依存する定数で
C
x
=
∏ ∏ -->
p
∣ ∣ -->
x
,
p
>
2
p
− − -->
1
p
− − -->
2
∏ ∏ -->
p
>
2
(
1
− − -->
1
(
p
− − -->
1
)
2
)
≥ ≥ -->
∏ ∏ -->
p
>
2
(
1
− − -->
1
(
p
− − -->
1
)
2
)
≈ ≈ -->
0.6601618
{\displaystyle C_{x}=\prod _{p\mid x,p>2}{\frac {p-1}{p-2}}\prod _{p>2}\left(1-{\frac {1}{(p-1)^{2}}}\right)\geq \prod _{p>2}\left(1-{\frac {1}{(p-1)^{2}}}\right)\approx 0.6601618}
である(最後の定数はハーディ・リトルウッド予想 に関連する)。十分大きな偶数 x に対して表現の方法が 1 以上であることが分かるので、一般に知られた形の陳の定理が従う。
参考文献
^ Luo-Geng Hua - Mathematics Genealogy Project
^ Paulo Ribenboim 著、吾郷孝視 訳『素数の世界』共立出版 、1995年 ISBN 4-320-01484-7 p. 162
^ マーチン・ガードナー 著、一松信 訳『マーチン・ガードナーの数学ゲームI』日本経済新聞出版社 、2010年 ISBN 978-4532511760 p. 49
^ ロビン・ウィルソン 著、熊原啓作 訳『数学の切手コレクション』シュプリンガーフェアラーク東京 、2003年 ISBN 978-4431710189 p. 113
^ J.-R. Chen, On the representation of a large even integer as the sum of a prime and a product of at most two primes, Sci. Sinica 16 (1973), 157 - 176.
関連項目
外部リンク
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