防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、漢方方剤の一つ。病院で処方される医療用医薬品と薬局等で購入できる一般用医薬品がある。独特の味で、温服が効果的。出典は金時代の漢方の古典である『宣明論』(せんめいろん)。
効能・効果
便秘がちで皮下脂肪の多い人に良く使われる。
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・浮腫・便秘、副鼻腔炎、湿疹・皮膚炎群、肥満症[1]。
気道、皮膚、尿路、腸管からの排泄を促進すると考えると理解しやすい。適応証(体質)は、実証(体力充実)、熱証(暑がり・のぼせ)、湿証(水分停滞)。火熱に対し、熱を冷ますもの。食欲増進ホルモンのグレリンを低下させ食欲を抑制する。
組成
ボウフウ、オウゴン、大黄、芒硝、麻黄、石膏、白朮、荊芥、レンギョウ、桔梗、山梔子、芍薬、当帰、センキュウ、薄荷、滑石、生姜、甘草
副作用
下痢、食欲不振、発疹、全身のだるさ[2]。まれな副作用として黄疸[3]、薬剤性肺炎[4]、劇症肝炎[5]、偽アルドステロン症、ミオパチー[6]、腸間膜静脈硬化症[6]が挙げられる。
医学的評価
網羅的に検索された362の臨床論文のメタアナリシスから、防風通聖散はBMIを有意に低下させることが判明している。679の被験者(351人が服用、328人は対照群)を比較することで、ウエスト周囲径、血中糖脂質や血圧には、両群で有意な差は認められなかったが、BMIが有意に減少した[7]。
脚注
- ^ 伸和製薬|防風通聖散(一般用医薬品)
- ^ 一般用漢方製剤「防風通聖散」を肥満症に使用するときの留意点 (PDF) 日本漢方生薬製剤協会
- ^ 元山宏行、榎本大 ほか、防風通聖散による薬物性肝障害の1例 日本消化器病学会雑誌 2008年 105巻 8号 p.1234-1239, doi:10.11405/nisshoshi.105.1234
- ^ 松島秀和 ほか、防風通聖散による薬剤性肺炎の1 例 日本呼吸器学会雑誌 2002年 第40巻 第12号
- ^ 山本博之、田中篤、北川諭 ほか、「防風通聖散の長期服用中肝障害が出現し, 劇症化に至った1例」 肝臓 2003年 44巻 11号 p.579-585, doi:10.2957/kanzo.44.579
- ^ a b ツムラ
- ^ Uneda, Kazushi; Kawai, Yuki; Yamada, Takayuki; Kaneko, Akira; Saito, Ryuji; Chen, Lin; Ishigami, Tomoaki; Namiki, Takao et al. (2022-04-13). Mogi, Masaki. ed. “Japanese traditional Kampo medicine bofutsushosan improves body mass index in participants with obesity: A systematic review and meta-analysis” (英語). PLOS ONE 17 (4): e0266917. doi:10.1371/journal.pone.0266917. ISSN 1932-6203. PMC 9007387. PMID 35417488. https://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0266917.
外部リンク