『負ケラレマセン勝ツマデハ』(まけられませんかつまでは)は、坂口安吾の随筆・評論。税金滞納で家財道具と蔵書を差押えられた安吾が、国税庁を相手に闘いを起こした記録である。1951年(昭和26年)6月、雑誌『中央公論文芸特集』(第8号)に掲載された[1][2]。
1958年(昭和33年)には、同作を原作とし製作・公開された豊田四郎監督の日本の長篇劇映画もある[3]。
収録書籍
映画
『負ケラレマセン勝ツマデハ』(まけられませんかつまでは)は、同名のエッセイを原作に1958年(昭和33年)製作、同年1月9日公開、豊田四郎監督による日本の長篇劇映画である[3]。製作東京映画、配給東宝。
坂口安吾原作の発表から6年後の1957年(昭和32年)に東宝系の映画製作プロダクション東京映画で同作の映画化が企画されたものである。
2006年(平成18年)、東京・渋谷と新潟市で行われた「坂口安吾映画祭」で上映された[4]。
ストーリー
舞台は東京の新開地。社長・岡見久吉(森繁久彌)が経営する会社「幌・内張株式会社」は、自動車やオート三輪の幌を取り替えることが主たる営業品目で、従業員は1名、重役陣は久吉の一族郎党である。社長以下重役が主体になって働き、1名の従業員は小僧の仁吉(山遊亭金時)である。絵に描いたような小企業である。
久吉の経営者としての目下最大の悩みは「税金」である。昨年度は社長の久吉が病に臥せり、経常赤字であったにもかかわらず税務署は不当な税金を徴収した、と怒り狂い、久吉は頑として払わなかった。一難去ってまた一難、久吉が競輪場へ憂さ晴らしに出かけた留守を見計らい、税務署の役人(瀬良明、須永康夫)が乗りこみ、商売道具、家財道具かまわず「差押札」を張りまくって帰っていった。
社長夫人のはつ枝(望月優子)の妹の友川お仙(淡島千景)は、町内で店「鮨仙」を経営していた。その店の客に、税吏の松井圭吉(小林桂樹)という男が通っていて、お仙に気があることを知ったはつ枝は、税法のウラを聞き出すようにお仙に頼んだ。色仕掛けで聞き出すが、やがて松井はお仙に騙されたことを知ると、税吏の苦しさをお仙に語るのだった。お仙はその姿に惹かれる。
いよいよ税務署が久吉の会社を訪れる日が来た。猛練習した想定問答集を手に久吉は大演説をぶとうとするが、総務課長の堀部(藤村有弘)と税吏の松井の慣れた調子に圧倒された。久吉は、昨年度の赤字であることから税金免除の対象であることを主張するが、税務署サイドは異議申立を法律通りに行え、と主張、解決はしなかった。しかし差し押さえはやってくる。差し押さえ隊に松井の姿はなかった。税務署を辞め、結婚するらしい。
がらんどうになってしまった幌・内張株式会社本店。久吉社長は、差し押さえですべて納税したわけで、多少さびしいが、これまで通り働こうと決意を新たにした。
キャスト
スタッフ・作品データ
脚注
参考文献
- 『新潮日本文学アルバム35 坂口安吾』(新潮社、1986年)
- 文庫版『堕落論』(新潮文庫、2000年)
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