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「誓願」とは異なります。 |
請願(せいがん)とは、国や地方公共団体に意見や要望、苦情の要請を行う事で、特に日本国憲法第16条に記された公務員の罷免や法律、条例の制定あるいは、改廃または損害を請求する事を示す。後者については請願権を参照。
形式としては書類の形をとり、多数の人々に署名されたものだが、現在では口頭や電子メールで請願することもある。日本では、一般的な請願の方法を請願法が定めており、住所および氏名を記して、所轄の官公庁に書面で提出しなければならないことになっている。
陳情
請願のうち、実情を一切打ち明ける事を陳情(ちんじょう)といい、政治用語としては、ある問題についての決定権をもつ上位の者に実情を説明することをいい、特に、国会や官公庁に実情を述べ、善処を要請することという意味で使う。これは、日本特有の請願の形式といえる。
なお、地方議会では、議員の紹介のあるものを請願、ないものを陳情と称し、原則として同様に扱うことがある[1]。東京都議会の場合は、形式等が請願に適合していると議長が判断した場合は、陳情を請願に準じて取り扱う[2]。横浜市会の場合、請願は委員会での審査を経て本会議で採択・不採択を決定する一方、陳情は議会側に意見書の提出を求めるものについては常任委員会で審議した後、結果を本会議に報告し、それ以外の行政への要望等は議長から市長へ回答を求める、というように取り扱いが変わる[3]。芦屋市議会の場合、請願はどんな内容でも形式が整っていれば、委員会での審査を経て本会議で採決にかけ、請願者が希望すれば委員会で口頭陳述(趣旨説明)を行うことが可能である一方、陳情は明らかに実現性のないものなどについては、委員会に諮らないことがあるとしている[4]。なお、提出者の意思を確認せず、陳情書を請願書に書き換えて提出した議員が、「社会正義に反する行為」などとして議会から辞職勧告決議を受けた例がある[5]。
嘆願
詳しい事情を一切打ち明け一心に同情心に訴えるように嘆き願う事を嘆願(たんがん)(または、懇願、哀訴、哀願)という。これらは、国や地方自治体といった国家機関ではない法人や個人に対して特に、通常では不可能である事を頼むと言ったニュアンスが多い。
また、何らかの刑事処分を受ける者に対して、刑罰の軽減または厳罰化にしてもらおうとすることも嘆願という。いずれにしろ、相手の同情心に訴えるため、客観的に見ると、妥当とは言い難いものである。
関連文献
- 中島正郎 『請願・陳情ガイドブック』 ぎょうせい、1992年。
脚注
関連項目
外部リンク