裸殻翼足類(らかくよくそくるい、学名 Gymnosomata)は、腹足綱翼足目(または真後鰓目)に属する分類群である。無殻翼足類とも。階級は裸殻翼足亜目[2]。以前は裸殻翼足目とされた[3]。
Gymnosomataとは、裸の (gymnos) 体 (soma) という意味である。和名は学名の翻訳ではなく、翼足類 Pteropoda のうち貝殻がないものという意味である。
特徴
小さな軟体動物で、足は翼状の側足 (parapodia) と呼ばれる付属器官物へ進化し、貝殻は消失している。どちらの進化も大洋を自由に遊泳するのに適している。
伝統的な体系では後鰓類(多系統群)に分類されていたが、のちに後鰓類は解体され真後鰓類に属するようになった。同じ真後鰓類に属する有殻翼足類 (Thecosomata) とよく似ており、有殻翼足類は真有殻翼足類 (Euthecosomata) と擬有殻翼足類 (Pseudothecosomata) の2亜目(または小目)に区別され、裸殻翼足亜目とともに翼足目に分類される[1][4][5]。有殻翼足類はもっと長く幅広い側足を持ち、ほとんどの種に貝殻があり、Sea Butterfly(海の蝶)と呼ばれている。
ゼラチン質で、ほとんど透明で、非常に小さい。側足をゆっくり打って、20mより浅い海を優雅に泳いでいる。通常はゆっくり泳いでいるが、驚くべき速度で泳ぐこともできる。雌雄同体で、体内で受精する。卵はゼラチン状の塊で産み落とされ、孵化するまで水上を漂う。孵化して数日で未発達の貝殻が消失する。
最大の種は5cmに達するダイオウハダカカメガイ Clione limacina である。クリオネとして知られるハダカカメガイ Clione elegantissima は北極海に分布。暖かい水域に分布する種はハダカカメガイよりはるかに小さい。
有殻翼足類のみを捕食する種も何種かいる。これらの種は、軟体動物に共通の歯舌を備えた口をもち、頭足類の吸盤に似た触手で獲物をつかむことができる。さらに、側足と呼ばれる「翼」で、より大きな「翼」を持つ有殻翼足亜目よりも非常に速く泳ぐことができる。これらの種以外のほとんどの種は、動物プランクトンを常食にする。
南極海に分布するナンキョクハダカカメガイ Clione antarctica は、微量の忌避物質 pteroenone を合成することで捕食者から身を守っている。同種の局所的な存在密度は異常であり、最大で1m3あたり300匹になることもある。捕食者がナンキョクハダカカメガイを食べないので、端脚目等その中に住む動物もいる。
分類
出典
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