称願寺(しょうがんじ)は、山梨県笛吹市にある仏教寺院。宗旨は時宗。
歴史
鎌倉時代の正応5年(1292年)、時宗二世の他阿真教を開山として創建された。開基は黒駒讃岐守[1]。
所在する笛吹市上黒駒は甲府盆地南東部に位置し、笛吹川支流の金川左岸に立地する。一帯は甲府盆地から御坂峠越えを控えた古代官道である甲斐路(御坂路)・中世の鎌倉街道の要衝にあたる。近世には上黒駒村が成立する。
他阿は甲斐国の遊化を行い、そのルート上には北杜市須玉町若神子の長泉寺、甲府市太田町の一蓮寺、富士吉田市上吉田の西念寺など時宗寺院が分布している。松岸寺は総本山清浄光寺に次ぐ時宗の名刹である一蓮寺(甲府市)と関係が深い。
甲斐百八霊場の第三十四番[2]。当寺創建700年を記念して、近くに養護老人ホームが設立された[3]。
文化財
重要文化財(国指定)
- 時宗二祖の他阿真教の等身大の肖像彫刻。鎌倉時代(14世紀)の作[4]。木造・彩色・玉眼嵌入[4]。像高は83.5センチメートル[4]。像内の頸部には持蓮華(じれんげ)を納める[5]。合掌して座した姿の真教の像で、病により顔の右半分が歪んだ風貌を忠実に写す。真教の肖像彫刻としては、神奈川県小田原市の蓮台寺に伝来する寿像(真教在世中の肖像)と並ぶ古作で、真教の死去(文保3年・1319年)からあまり時を隔てない時期の作と推定される[6]
山梨県指定天然記念物
その他
交通アクセス
東日本旅客鉄道中央本線石和温泉駅よりバスで約20分、道場バス停留所で下車徒歩数分。
脚注
- ^ 称願寺 - 山梨県 笛吹市:観光 施設一覧
- ^ 時を超えた心のふるさと 甲斐百八霊場
- ^ 社会福祉法人光珠福祉会
- ^ a b c 『祈りのかたち』、p.151
- ^ 『祈りのかたち』、p.152
- ^ 「新指定の文化財」『月刊文化財』237号(第一法規、1983)、p.12;「新指定の文化財」『月刊文化財』501号(第一法規、2005)、p.18
- ^ 『角川日本地名大辞典』19〈 山梨県〉、角川書店、1984年
- ^ 『黒駒勝蔵対清水次郎長』、p.5