沢田昭二
沢田 昭二 (さわだ しょうじ、1931年 - )は、日本の物理学者 。素粒子 の理論物理学者 。名古屋大学 名誉教授 。
経歴
修学期
1931年、広島県 広島市 で生まれた。13歳のときに広島で被爆 [ 1] [ 2] 。広島大学 理学部へ入学し、1955年に卒業。卒業後は同大学大学院理学研究科へ進んだ。1961年に学位論文『π中間子-核子衝突における一個のπ中間子発生過程』を提出して理学博士号を取得し[ 3] 、卒業した。
物理学研究者として
卒業後は、1986年より名古屋大学理学部 助教授[ 4] 。1990年に教授に昇格。素粒子物理学 の研究者として小川修三 に師事し、素粒子論の研究に携わった[ 5] 。坂田昌一 が発表した坂田模型 における対称性に関する沢田-米沢質量公式などの研究を行った[ 6] 。
名古屋大学退任後の活動
名古屋大学 を定年退職後、原爆症 患者認定訴訟の原告側証人として原爆 被害者救済に携わり、原爆の放射線 による影響の調査研究を始める。2004年に「原爆放射線急性症状の発症率から実効的被曝線量を推定する」論文を発表[ 7] 。2007年に原爆投下に伴う残留放射線による内部被曝 に関する論文を発表[ 8] 、その後も内部被曝の実態解明に向けて取り組んでいる。原水爆禁止日本協議会 代表理事。
福島第一原子力発電所事故 については、内部被曝に対する懸念を表明している[ 9] [ 10] [ 11] 。内部被曝の影響については、歴史的に軽視されてきた経緯があり、たとえば、原爆の爆心地 から離れたところでも脱毛 や皮下出血 などの放射性降下物 による内部被曝を示唆するデータはあったものの、軍事的な都合などが優先された結果、放射線防護から内部被曝を軽視する方向で進められてきたと指摘する[ 12] [ 13] [ 14] 。放射線影響研究所 の疫学調査では、初期放射線の線量当量が0.005シーベルト以下の被曝者は「非被曝集団」とされたが、非被曝集団とされた中には放射性降下物による影響で脱毛などを起こすほどの内部被曝者も含まれており、被曝による被害の過小評価の要因の一つになっていると指摘している[ 12] 。
研究内容・業績
研究テーマの例
著作
著書・共著書
翻訳
参考資料
沢田昭二 (2007-10-04), 残留放射線と内部被曝 , “第2回原爆症認定の在り方に関する検討会 資料2” , 厚生労働相 , https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/s1004-7b.pdf 2011年6月2日 閲覧。
Shoji Sawada, Cover-up of Injuries from Atomic Bombing and Severe Effects of Internal Exposure to Residual Radiation , Oct.10 (2010)
Shoji Sawada, Tragedies Caused by Atomic Bombing , 2010 World Summit of Nobel Peace Laureates “The Legacy of Hiroshima: a World without Nuclear Weapons”
沢田昭二, 被爆者として そして科学者として (PDF ) , 第109回原子力安全問題ゼミ 広島・長崎65年:被爆体験を聴く, 京都大学原子炉実験所, 2010年4月26日
脚注
^ 沢田昭二, 私の被爆体験から (PDF ) , 京都大学原子炉実験所 ホームページ
^ 「広島で母を亡くした」(朝日新聞,2017年4月28日)
^ CiNii(学位論文)
^ KAKEN - 沢田 昭二(研究者番号:50022546) , 科学研究費補助金データベース
^ 沢田昭二 (2006), 広島大学着任の頃の思い出と名古屋大学平和憲章(小川修三さんの人と学問) , “特集 日本物理学会50周年記念 50年をかえりみる” , 素粒子論研究 113 (5): E24-E35, https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282679046074368
^ 小川修三 (1996), 坂田学派と素粒子模型の進展 , “特集 日本物理学会50周年記念 50年をかえりみる” , 日本物理学会誌 第51巻 (2号): 58-74, ISSN 00290181 , http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/jps/butsuri/50th/50(2)/50th-p90.html
^ 沢田昭二 (2004), 原爆放射線急性症状の発症率から実効的被曝線量を推定する , , 日本の科学者 39 (1): 42-47, ISSN 00290335 , https://cir.nii.ac.jp/crid/1520009409178700288
^ Shoji Sawada (2007). “Cover-up of the effects of internal exposure by residual radiation from the atomic bombing of Hiroshima and Nagasaki”. Medicine, Conflict and Survival 23 (1): 58-74. doi :10.1080/13623690601084617 .
^ 放射線被曝の影響について(沢田昭二) , “JSA Wiki/放射線被曝問題について(科学者の眼)” , 日本科学者会議 , (2011/03/24), http://www.jsa.gr.jp/pukiwiki/index.php?%CA%FC%BC%CD%C0%FE%C8%EF%C7%F8%CC%E4%C2%EA%A4%CB%A4%C4%A4%A4%A4%C6#s9b84c38 2011年6月2日 閲覧。
^ “沢田昭二『放射線による内部被曝』-福島原発事故に関連して- ”. Peace Philosophy Centre (2011年4月20日). 2011年6月2日 閲覧。
^ 素粒子論グループの皆様 沢田昭二
^ a b 沢田 昭二, 『核兵器はいらない』(2005) , pp. 61-68
^ 封印された「人体への影響について」 誰が責任を取るのか , “経済の死角”, 現代ビジネス(講談社) , (2011年04月13日), https://gendai.media/articles/-/2415 2011年6月1日 閲覧。
^ 内部被曝という問題をどう考えるのか③沢田昭二名誉教授との話 , , ジャーナリスト 木下黄太のブログ 「福島第一原発を考えます」 , (2011/04/25), https://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/d414b2d24e9197063d9b225652fea931 2011年6月2日 閲覧。
^ 素粒子の複合模型の展開 DEVELOPMENT OF THE COMPOSITE MODEL FOR ELEMENTARY PARTICLES 研究課題番号:62580076
^ 強い相互作用とハドロン物理学 Strong Interactions and Hadron Physics 研究課題番号:63302010
^ 量子色力学とスキルミオンを持つ低エネルギー有効理論 Quantum Chromodynamics and Low Energy Effective Theory with Skyrmion. 研究課題番号:04640290