扇動(せんどう)とは、大衆の前で演説などをすることによって、人々の感情を高ぶらせ、意見を変更させたり、特定の行動を起こすように誘導することをいう[1]。煽動()とも表記される。英語のアジテーション(agitation)を略して『アジ』と言うこともある。視覚よりも聴覚を利用する方が効果的であるとされ[1]、マスメディアを利用して動画や音声を放送する手法が用いられる。似たような概念としては、教育及び宣伝が挙げられる[1]。
海外における扇動
国によっては扇動を行うことそのものが犯罪行為に該当する場合があり、ドイツには民衆扇動罪という罪が存在する。歴史上では、極めて大きな異質な団体などが出現したのは、一人の特質なカリスマ性を持った指導者が大衆を扇動したことが最大の原因であったという例がしばしば存在する。
また、ロシアの革命家ウラジーミル・レーニンの著作から、政治的宣伝や大衆を政治行動に動員する記述を含んだ論文や著述を、日本共産党中央委員会宣伝部がレーニン全集から選択・編集して「宣伝・扇動」と名付けて出版した国民文庫[2][3]があるほか、東方勤労者共産大学のカリキュラムにはプロパガンダや革命戦術も含まれていた。これだけでなく、社会主義国(ソ連・北朝鮮など)の指導政党には「宣伝扇動局」という部門がある。
日本
日本の法律では煽動について「他人に犯罪その他の違法行為をなさしめるよう刺激を与える行為」と定義され、煽動罪として以下のものが規定されている。
教唆犯に類似するが、被煽動者が決意を有するに至ったことを必要とせず、煽動行為があればただちに処罰可能な独立共犯である点で異なる。そのため、日本国憲法第21条に規定された表現の自由と衝突する可能性もある。煽動罪に関する判例としては食糧緊急措置令事件や破防法事件がある。
脚注
出典
関連項目
外部リンク