『性生活の知恵』(せいせいかつのちえ)は、1960年(昭和35年)に池田書店が出版してミリオンセラーとなった、謝国権による医学啓蒙書、ハウツー本であり[1][2]、同書を原作として1961年(昭和36年)に水野洽が監督し、大映東京撮影所が製作、大映が配給して公開した日本の長篇劇映画である[3]。映画は、当時の「映画倫理管理委員会」(新映倫、現在の映画倫理委員会)は同作を成人映画に指定し、18歳未満の鑑賞を制限したが[3]、同年中に製作・公開された続篇は一般映画指定であった[4]。書籍についても、1963年(昭和38年)に続篇が出版された[1]。
略歴・概要
1960年(昭和35年)6月25日、初版発行[1]。著者の謝国権は当時、日本赤十字社本部産院(現在の日本赤十字社医療センター産科)の医局長を務めており、内容的には刺激的ではあったが、初版で終わっても読者の幸福に貢献したいとの思いで出版され、発売禁止処分にならぬよう留意した[2]。初版3,000部は、版を重ねて1年間で152万部のベストセラーとなり、1970年(昭和45年)4月には第138刷、200万部を突破した。同書は「日本人の性意識を変えた」といわれる[2]。
大映東京撮影所は、同書のベストセラー化を受けて、1961年(昭和36年)、同書を原作に、5話構成オムニバス形式による同名の劇場用映画を製作、同年7月28日にこれを公開した[3]。わずか2か月後の同年9月30日には『性生活の知恵 第二部』を公開している[4]。2012年(平成24年)7月現在、東京国立近代美術館フィルムセンターは、いずれのヴァージョンの上映用プリント等をも所蔵していない[5]。
1963年(昭和38年)6月、続篇にあたる『これからのSEX 続 性生活の知恵』が発売されている[1]。
目次
正
- 第一章 結婚と性生活 - p.19
- 第二章 男性と女性の性生理 - p.28
- 第三章 性交への誘い - p.49
- 第四章 性交とその態位 - p.59
- 第五章 性交との訣別 - p.124
- 第六章 男性のために - p.127
- 第七章 女性のために - p.170
- 第八章 青年期の性 - p.219
- 第九章 家族計画の必要性 - p.244
- 第十章 妊娠しない期間の見つけ方 - p.253
- 第十一章 受胎調節法の実際 - p.260
続
- 第一章 これからの性教育 - p.13
- 第二章 これからの性生活 - p.81
- 第三章 疲れない性交態位 - p.127
- 第四章 初夜の不成立を避けるために - p.188
- 第五章 新しく寝室を作る人のために - p.253
ビブリオグラフィ
国立国会図書館蔵書による一覧である[1]。
- 『性生活の知恵』、謝国権、池田書店、1960年
- 『性生活の知恵 ポケット版』、イケダ3Lブックス、池田書店、1973年
- 『これからのSEX 続 性生活の知恵』、謝国権、池田書店、1963年
映画
正篇
『性生活の知恵』(せいせいかつのちえ)は、謝国権の同名の医学啓蒙書を原作として、1961年(昭和36年)に水野洽が監督し、大映東京撮影所が製作、大映が配給して公開した、オムニバス形式の日本の長篇劇映画である[3]。当時の「映画倫理管理委員会」(新映倫、現在の映画倫理委員会)は同作を成人映画に指定し、18歳未満の鑑賞を制限した[3]。2012年(平成24年)7月現在、東京国立近代美術館フィルムセンターは、本作の上映用プリント等を所蔵していない[5]。
作品データ
スタッフ
キャスト
続篇
『性生活の知恵 第二部』(せいせいかつのちえ だいにぶ)は、謝国権の医学啓蒙書『性生活の知恵』を原作として、1961年(昭和36年)に製作・公開された同名の劇映画の続篇として、同年、阿部毅が監督し、大映東京撮影所が製作、大映が配給して公開した日本の長篇劇映画である[4]。前作に対して、当時の「映画倫理管理委員会」(新映倫、現在の映画倫理委員会)は同作を成人映画に指定し、18歳未満の鑑賞を制限したが[3]、本作に対しては「一般映画」指定であった[4]。2012年(平成24年)7月現在、東京国立近代美術館フィルムセンターは、本作の上映用プリント等を所蔵していない[5]。
作品データ
スタッフ
キャスト
脚注
参考文献
- 『日出造見参「やァこんにちは」「性生活の知恵」の著者謝国権氏』謝国権、『週刊読売』第19巻第50号所収、読売新聞社、1960年12月、p.58-63.
- 『はじめてママになる方のために 出産の準備』謝国権、『婦人倶楽部』第43巻第14号所収、講談社、1962年12月、p.261-266.
- 『結婚生活の知恵 幸福な愛と性のガイド』、石垣綾子、講談社、1964年、p.194.
- 『謝国権「性生活の知恵」・レジャー時代の開幕 - 戦後ベストセラー物語 52』巻正平、『朝日ジャーナル』第8巻第43号所収、朝日新聞社、1966年10月、p.35-39.
- 『新しい性生活の知恵 監修 謝国權 十組の夫婦の体験報告より』、『婦人倶楽部』第51巻第1号所収、講談社、1970年1月、p.391-395.
- 『子供を一人産んだ後の性生活』謝国権、『婦人倶楽部』第52巻第1号所収、講談社、1971年1月、p.387-396.
- 『出産前後の性生活の知恵』謝国権、『婦人倶楽部』第53巻第6号所収、講談社、1972年6月、p.415-423.
- 『子供を産み終えてからの性生活の知恵』謝国権、『婦人倶楽部』第59巻第2号所収、講談社、1978年2月、p.153-161.
- 『"人形"で苦心した謝国権「性生活の知恵」』池田菊敏、『文藝春秋』第58巻第9号所収、文藝春秋、1980年9月、p.211-213.
- 『ベストセラーの戦後史 16 謝国権「性生活の知恵」昭和35年』井上ひさし、『文藝春秋』第66巻第11号所収、文藝春秋、1988年9月、p.482-487.
- 『訪問「時代の本」5 謝国権「性生活の知恵」』吉原敦子、『諸君!』第26巻第10号所収、産経新聞社、1994年10月
- 『「戦後50年の生き証人」に聞く 3 謝国権 - 「性生活の知恵」以前・以後』謝国権・田原総一朗、『中央公論』第110巻第5号所収、中央公論社、1995年3月、p.264-276.
- 特別企画「謝国権氏の「名著」が世に出てから35年!! 平成版性生活の知恵極上のエクスタシーを味わうために」、『週刊現代』第37巻第39号所収、講談社、1995年10月、p.180-185
- 『遺書、拝読 5 『性生活の知恵』池田書店刊 著・謝国権』長薗安浩、『中央公論』第119巻第5号所収、中央公論社、2004年5月、p.253-255.
関連項目
外部リンク
- 書籍
- 映画