大黒屋(だいこくや)は、三重県桑名市多度町柚井にある鯉料理店。享保年間(1710年~1736年)創業[1][2]。
歴史
享保年間(1710年~1736年)創業[1][2]。初期は多度大社の参詣者のための旅籠だった[3]。なお、安政3年(1856年)創業とされることもある[4]。
江戸時代後期には鯉料理などの川魚料理を出すようになった[3]。大黒屋の代々の当主は儀平という名を襲名し、1963年(昭和38年)時点では5代目儀平が大黒屋を営んでいた[1]。敷地面積は約1000坪であり、建物の他に日本庭園を有する[2]。店内には桑名まちかど博物館に登録されている「大黒屋旅の資料館」がある[3]。
食通として知られる作家の池波正太郎は、大黒屋の鯉料理に満足して二日連続で通ったことがある[3]。1955年頃までは木曽三川で獲られた鯉を用いていたが、現在は他県産の鯉を仕入れている[3]。2000年代後半まで、大黒屋の池には全長3メートルにも及ぶ推定年齢130歳の鯉がいた[5]。
2017年3月にTBS系で放送されたドラマ『LEADERS 2』ではロケ地となった[6]。2019年の映画『アルキメデスの大戦』でもロケ地となり[6]、主人公らが出会う舞台となる老舗料亭として登場した[7]。2019年に刊行された『ミシュランガイド東海版・愛知(名古屋)2019』では、ミシュランプレート(ミシュランの基準を満たした料理)に選ばれた。
多度大黒屋の鯉料理庭園の池水清冽にして無数の鯉を養ひあり、其鯉は年中卵を孕み居り「鯉こく」の評判高く、名物の一に数へらる。
— 『養老鉄道案内』養老鉄道、1919年[8]
料理
料理に用いる鯉はまず群馬県で成長させられ、次いで養老山系の伏流水を用いた大黒屋の池で1年以上飼育されて臭みが抜かれる[5]。
メニューは数種類のコース料理のみとなっており、西京味噌による鯉こくや、わさび醤油で食べる鯉の洗い、白子の煮物などが含まれている。[要出典]
私もずいぶん、鯉料理を食べてきたが、これほどに多彩な料理ができようとは思ってもいなかった。おそらく、この『大黒屋』にしてはじめて出来得る『芸』なのではあるまいか。こころみに、献立をしるしておこう。すべてが鯉料理である。まず、鯉の皮をそぎとり、はるさめと共に酢の物にした前菜が出た。鯉の皮が、これほど脂濃いものとは知らなかった。うまい。つぎに。アバラ肉をたたいて団子にし、これを揚げたものと、小さな魚田二片と、雄の鯉の肝の煮つけが出た。
— 池波正太郎『食卓の情景』新潮社、1980年[9]
主な来店者
アクセス
脚注
参考文献
- 池波正太郎『食卓の情景』新潮社、1980年
- 池波正太郎『包丁ごよみ』新潮社、1991年
- 三重フィールド研究会『三重県の伝統料理』三重県良書出版会、1982年
- 三重県教育委員会『三重県近代和風建築総合調査報告』三重県教育委員会、2008年
- 小早川道子「伊勢参宮と『伊勢鯉』」『伊勢民俗』伊勢民俗学会、2020年、第49・50号
外部リンク
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