光達距離(こうたつきょり)とは、灯台の光が届く距離のこと。単位は海里で表され、以下の3種類がある。
- 光学的光達距離(こうがくてきこうたつきょり) :光源光度、視程、限界可視照度から算出される。視程を18ないし23海里(透過率0.85)、実効光度(限界可視照度)を2×10-7ルクスとする。最も条件が良いとき(例えば月明かりや霞が無く波が穏やかな快晴の夜)などに灯台の光が到達可能とされる距離である。
- 名目的光達距離(めいもくてきこうたつきょり):同じく光源光度、視程、限界可視照度から算出されるが、視程を10海里(透過率0.74)、実効光度は同じく2×10-7ルクスとしている。晴天の暗夜に灯台の光がおよそ実用的に目視できる距離である。従来は、光源を不動光として計算されていたが、
- 上記の2.を国際基準に合わせる為に、平成14年4月1日以降は、光源をリズム光(点滅する)として計算したものを使用しており、これを「実効光度を用いた名目的光達距離」と呼んでいる。
- 地理的光達距離(ちりてきこうたつきょり):灯台の光が水平線に隠れない距離で、眼高と灯高のみから算出される。眼高をhm, 灯高をHmとすると海里と計算される。(灯台表や海図には、眼高を平均水面上5メートルとして計算した数値を使用している。)
海上保安庁が発行する「灯台表」には、上記の内、3.と2.に加えて、1.と4.のどちらか小さい方の、3種類の光達距離が全て記載されており、海図には、従来は1.と4.のどちらか小さい方が記載されていたが、平成14年4月以降に刊行される海図には、3.と4.の内のどちらか小さい方が記載されることになった。
名目的到達距離の計算法は、国際基準に合わせるべく2003年(平成14年)4月1日に改正され、殆どの灯台や航路標識の「光達距離」がそれまでより小さくなった。日本の灯台で最も「光達距離」が長いとされてきた余部埼灯台(兵庫県美方郡香美町)は、それまでの39.5海里から23海里(約43km)に修正され、室戸岬灯台(高知県室戸市)の26海里(約49km)に日本一の座を明け渡すこととなった。しかし勿論、実際の灯台の光度が変更された訳ではない。