亜リン酸トリメチル (あリンさんトリメチル、英語: Trimethyl phosphite[2]) は化学式P(OCH3)3と表される有機リン化合物。P(OMe)3と略されることもある。無色液体であり、有機金属化学における配位子、有機合成における試薬として用いられる。三角錐形をした中心の3価のリン原子に、3つのメトキシ基が結合した構造である。
合成と反応
市販されているものを購入することも可能だが、三塩化リンから合成することもできる。
酸化されてリン酸トリメチルに変化しやすい。
配位子としては、配位子円錐角が小さくトリメチルホスフィンより強いπ受容性を持つ。代表的な錯体として、無色の正四面体型錯体であるNi(P(OMe)3)4(融点108℃)がある[3]。Kläui ligandと呼ばれる三座配位子は亜リン酸トリメチルの誘導体であり、この配位子(とそれに続く金属錯体)が形成されやすいことは亜リン酸トリメチルがミカエリス・アルブーゾフ反応を受けやすいことの証左となっている。
有機合成においては穏和な脱硫黄試薬として、テトラチアフルバレン誘導体などの合成に用いられる[4]。
脚注
- ^ a b c d e NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0640
- ^ A comprehensive guide to the hazardous properties of chemical substances - Pradyot Patnaik - Google Kitaplar
- ^ Ittel, Steven D.; Ittel, S. D.; Cushing, M. A.; Baker, R.; Gilbert, R. J.; Madden, D. P. (1990). “Complexes of Nickel(0)”. Inorganic Syntheses. Inorganic Syntheses 28: 98–104. doi:10.1002/9780470132593.ch25. ISBN 978-0-471-52619-3.
- ^ Jan Larsen and Christine Lenoir (1998). "2,2'-Bi-5,6-Dihydro-1,3-Dithiolo[4,5-b][1,4]dithiinylidene (BEDT-TTF)". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 9, p. 72.
外部リンク