ローターン方程式 (ローターンほうていしき、ルーターン方程式、ロートハーン方程式、英 : Roothaan equation )は、ハートリー-フォック方程式 を、ガウス型 やスレイター型 の非直交基底 で行列表示 したものである。
すべての分子軌道 や原子軌道 が2つの電子で占められているような閉殻分子や原子で適用される。これは一般的に制限ハートリー–フォック(RHF)法 と呼ばれる。
この方法はクレメンス・ローターン とジョージ・ホール (英語版 ) が1951年にそれぞれ独立に開発し、しばしばローターン–ホール方程式 と呼ばれる[ 1] [ 2] [ 3] 。ローターン方程式は、非線形であるため標準的な固有値問題ではないが、一般固有値問題 (英語版 ) と似た形で書くことができる。
F
C
=
S
C
ϵ ϵ -->
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}{\boldsymbol {C}}={\boldsymbol {S}}{\boldsymbol {C}}{\boldsymbol {\epsilon }}}
ここで
F
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}}
はフォック行列 、
C
{\displaystyle {\boldsymbol {C}}}
は基底の展開係数、
S
{\displaystyle {\boldsymbol {S}}}
は基底関数の重なり行列 、
ϵ ϵ -->
{\displaystyle {\boldsymbol {\epsilon }}}
は軌道エネルギーの対角行列 である。
直交化された基底の場合、重なり行列
S
{\displaystyle {\boldsymbol {S}}}
は恒等行列 となる。
ハートリー–フォック方程式 が微分方程式 であるのに対し、ローターン–ホール方程式は連立方程式であるため、より簡便に計算機を使って解くことができる。
フォック行列
F
{\displaystyle {\boldsymbol {F}}}
は、電子間相互作用項を含むため、軌道の展開係数
C
{\displaystyle {\boldsymbol {C}}}
および軌道の占有数に依存する。そのためハートリー-フォック方程式同様、セルフコンシステント に解く必要がある。
脚注
関連項目