『ユリゴコロ』は、沼田まほかるのミステリ小説。2011年4月4日に双葉社から単行本が刊行された[1]。2014年1月9日には双葉文庫から文庫本が発売された[2]。2017年に映画化された。
概要
2011年の発売以降、販売部数累計25万部を超え、2012年には大藪春彦賞受賞、本屋大賞ノミネート、「このミステリーがすごい!」国内部門第5位など数々の国内ミステリーランキングにランクインした。アメリカ・中国・韓国・台湾でも翻訳出版された。
あらすじ
実家の父の書斎の押入れに、ひっそりと仕舞われていた4冊のノート『ユリゴコロ』。それは「私」が『ユリゴコロ』と呼ばれるものを探し求めて殺人を犯していくという生々しい内容だった。そのノートを読んだ亮介はその秘密に迫っていく。
登場人物
- 美紗子
- 4冊のノート『ユリゴコロ』を書いた人物。
- 亮介
- 婚約者の千絵が失踪し、父の末期がんが判明。母が不審な交通事故死を遂げた。ある日実家で、余命わずかの父の書斎の押入れに、ひっそりと仕舞われていた4冊のノート『ユリゴコロ』を見つける。その事がきっかけでその秘密に迫っていく。
漫画版
映画
2017年9月23日に吉高由里子主演で映画が公開。監督は熊澤尚人[5]。PG12指定。興行収入は2億円台に留まった[6]。
主演の吉高由里子は本作で第41回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した[7]。
フランスで開催された第13回KINOTAYO現代日本映画祭招待作品[8]。
あらすじ
亮介は婚約者の千絵とともに高原のレストランを経営しているが、ある日、千絵が謎の失踪を遂げ、さらに父洋介が末期ガンであることが発覚する。そんな折、亮介は父の押入れから『ユリゴコロ』と書かれた1冊のノートを見つけ、そこには創作か現実か、殺人者・美紗子の半生が綴られていた。
【ノート『ユリゴコロ』の内容】美紗子には幼少期から心の拠り所というべき「ユリゴコロ」が欠けていて、他人との関わりを避け一人遊びをする少女だったが、ある日友達を池に突き落として溺死させたとき、初めて喜びに近い感情を抱く。
中学生のときには、帽子を側溝に落として拾おうとしている少年と、その側溝蓋を持ち上げている若者がいて、美紗子は手伝うふりをして蓋を押し下げ、少年を殺してしまう。その後も、精神を病んだ女友達のリストカットを手伝って殺したり、ナンパの若者を階段から突き落としたりと、人を殺すことが心の拠り所になってしまう。
専門学校を卒業した美紗子は就職するがうまくいかず、生活のため売春を始め、そこで洋介に出会い親しくなる。しかし洋介から「過去に子どもを殺した罪を負っている」と告白され、彼は性的不能だった。かつて側溝の蓋を落として少年を死に至らしめた青年こそ洋介だった。
そんな折、美紗子が誰の子とも分からない妊娠をし、二人はその子を育てる決心をして結婚する。しばらくは三人の幸せな生活が続いた。
しかし警察から疑いをかけられ、罪の意識に悩むようになった美紗子は自殺未遂を起こし、『ユリゴコロ』で全てを知った洋介は自分の手で死なせることが最善と、ダムに連れて行くが耐えられず、美紗子を解放し別れた。
【物語】『ユリゴコロ』を読んだ亮介は、父の目を盗んで続きを読むために実家に通いだす。そんな亮介の元に千絵の友人で細谷と名乗る女性が訪ねてきて、捜査の結果、千絵は暴力団に関わっていたことが判明する。
そして亮介は美紗子の子が自分であると確信した。一刻も早く千絵を見つけたい亮介は、捜査を続ける細谷から都内の暴力団オフィスに監禁されていることを知り、包丁を持ってオフィスに向かうが、着いたとき既に暴力団員は全員殺されていて、無事に千絵を救出する。
現場にオナモミの実が落ちていたことから、全ての疑念が確信に変わる。逃亡のため整形したが、細谷こそ亮介の母の美紗子だった。
キャスト
スタッフ
DVDリリース
2018年4月4日にBlu-rayとDVDがリリースされた[7]。
脚注
外部リンク