1988年にセカンドアルバム『Ainsi soit je…』 が制作され、日本でも数年遅れて邦題『ミレーヌ・ファルメール』で発売される。タイトル曲の『Ainsi soit je…』は、日本ではTVコマーシャルにも使用された。エドガー・アラン・ポーの写真をつかったピクチャーCDなど、ゴシックテイストの強いアートダイレクションだった。このアルバムは80年代のヌーベルシャンソンのうち、女性アーティストとしては最も売り上げ枚数が多かった。
アルバムはフランス国内だけで200万枚の売り上げを記録し、ダイアモンドアルバムに認定される。また『Psychiatric』ではデヴィッド・リンチの『エレファントマン』からの叫び声、『Beyond my control』ではラクロの『危険な関係』の映画の中からジョン・マルコヴィッチの声が曲の冒頭にサンプリングされている。
また、このアルバムのライブツアーは、彼女のセカンド・ライブアルバム『Live à Bercy』として2枚組CDアルバムおよびカセット、VHSで発売され、後にDVDでもリリースされた。現在のところフランスでのライブアルバムの最高セール記録を保持している。このアルバムからはミッシェル・ポルナレフのカバー『La Poupée qui fait non』をカーリー(Khaled) とデュエットでしているものがシングルカットもされた。その後中国などに旅行にでた。
2008年、『Point de Suture』を発売。以前よりもエレクトロ系のポップサウンド色が強くなった。アルバムのジャケットは日本のゴスロリ人形作家の三浦悦子によるものである。アルバムタイトルは、映画『カリートの道』のアル・パチーノの台詞「All the stitches of the world cannot sew us again」に因む。
ブルーノ・アヴェヨン (Bruno Aveillan) が監督した『Dégénération』と『Si j'avais au moins…』のPVは前編・後編と連続したものになっており、ミレーヌ扮する意識不明で包帯で巻かれたエイリアンらしき謎の女性が覚醒とともにオージーがおきるといったもので、最後は地球の癒やしとなっている。2009年には「Nº 5 on ツアー」をフランス各地で旺盛に行う。衣装はジャン・ポール・ゴルチエが担当した。
2023年とオリンピックをまたいだ2024年にはNEVERMOREというコンサートをパリなどで開催した。彼女のこれまでの作品を回顧するような演出となり、年齢のせいもあるのか腕の振りが目立つようなダンスとはなったが、最終日となった2024年10月1日のコンサートでは、会場であるStade de Franceが満員になる盛況であった。
上記のようにフランス語圏では絶大な人気を誇り、フランス最大の音楽賞であるNRJミュージックアワード(NRJ Music Awards)の最優秀女性アーティスト賞を4度、最優秀アルバム賞を3度も受賞するなどフランスを代表する女性歌手である。
ステージにおけるエンターテイメント性
また同時にミレーヌは、儀式のようにステージのパフォーマンスを行い、セットや照明のデザインからも神秘的な世界を可視化するという大掛かりなコンサートを行ってきた。2000年に行われた『Mylenium Tour』では、H・R・ギーガーの巨大なアンコール・ワットの人面彫刻のセットから宙づりになって出現するというパフォーマンスを行ったが、その演出は、照明や音楽性もふくめて感情に訴える美的、詩的要素に富んでいる。また『Avant que l'ombre...』のコンサートにおいても壮大な階段や十字の花道のセットを組み、水のスクリーンに映像を投影するなど、アーティスティックな要素の豊かなショウを作り上げている。いずれにしても、しばしば十字架や『N°5 on Tour』におけるようにメメント・モリの骸骨など、スピリチュアルな図像をあしらったデザインを取り入れて、観客が儀式的な熱狂につつまれている様子をDVDからなどで見ることが出来る。
ディスコグラフィー
スタジオ録音
Cendres de lune (1986)日本版未発売
ミレーヌファルメール - Ainsi soit je... (1988)
二重人格 - L'Autre... (1991)
アナモルフォーゼ - Anamorphosée(1995)
イナモラメント - Innamoramento (1999)
影が迫り来る前に - Avant que l'ombre (2005)
縫合 - Point de suture (2008)
青黒い - Bleu noir (2010)
Monkey Me (2012)
星間 - Interstellaires (2015)
Désobéissance (2018)
ライブアルバム他
En Concert(1989、Cendres de LuneとAinsi Soit Je...から)
ダンス・リミックス - Dance Remixes (1992)
Live Bercy - (1997、Anamorphoséeツアー)
ミレニアム・ツアー - Mylenium Tour (2000)
言葉 - Les Mots(2001、新曲つきベストアルバム)
Remixes (2004)
影が迫りくる前に - Avant que l'ombre (2006、Bercy)
N°5 on Tour (2009)
Timeless 2013 (2013)
シングル
1984: Maman a tort
1985: On est tous des imbéciles
1985: Plus grandir
1986: リベルティンヌ - Libertine
1987: トリスターナ - Tristana
1987: サン・コントルファソン - Sans contrefaçon(シャンソン・ユニット「アンフィニ」によって「告白」のタイトルでクレアシオン<創唱>)