マイニング (仮想通貨)

ハッシュコインのマイニング

マイニングとは、コンピュータの作業に協力し、その報酬として新たに発行された仮想通貨を得ること。採掘とも呼ばれる[1][2][3]。英語では「採掘」の意味する「マイニング(: mining)」が使われており[2]、日本語でも同様に「マイニング」という表現が定着している[4]

仕組み

仮想通貨の取引においては、不正を防止するため、「ブロックチェーン」という仕組みを実装している。そのためには、取引の記録を取引台帳(ブロック)に書き込む計算処理をしなければならない。その役目としての「マイナー」が、コンピューターでその計算処理を実行している。最初に更新に成功したマイナーに報酬として新たに発行した仮想通貨が支払われる[1][2][5][6]。計算をする行為が、鉱山から宝を探し当てるほど困難なことから「マイニング」と名付けられた[4]。「マイナー」は採掘者とも呼ばれている[7]。マイニングのおかげで、その仮想通貨の信頼が得られる[8]。多くの仮想通貨の場合、最初に発行枚数が決められている[9]

プルーフ・オブ・ワーク

プルーフ・オブ・ワークはマイニングのアルゴリズムの一種で、略してPoWと呼ばれる。計算ができるマイナーであるほど、承認の権限が強くなる[10]。大量の電力を消費する代わりに安全性が高い[11]。また、仮想通貨の価格が上がると、マイニングの電力の消費も増える[12]。計算をする時に使う電力の39%は、再生可能エネルギーを使っている[13]ビットコインライトコインのマイニングはほとんどがGPUが使われている。CPUでもマイニングは行えるが、効率の面からGPUが使われている[14]。ビットコインなどで使われているアルゴリズムである。

プルーフ・オブ・ステーク

プルーフ・オブ・ステークはマイニングのアルゴリズムの一種で、略してPoSと呼ばれる。英語では「Proof of Stake」と呼ばれ、その通貨を多く持つマイナーほど承認の権限が強くなる。環境への影響が小さく、取引の処理も優れている。また、イーサリアムは、PoSへ移行している[10]。PoWはマイニングの際に大量のエネルギーを使うので、環境保護団体などからはマイニングを廃止したり[15]、エネルギーの消費が少ない、この方式にするように求められていた[16]

マイナー

マイナーは、マイニングマシンと呼ばれるコンピューターなどを使用してマイニングを行っている[17]。ほかのマイナーとの競争に勝つために、多くの企業などは高い性能のコンピューターを大量に用意して稼働し続けている。なので、多くの企業は電気料金が安い中国やアメリカのテキサス州などで工場を稼働させていた[6]。2021年5月21日、ビットコインのマイニングを中国が取り締まることを発表した[18]。中国がマイニングを禁止する前は世界で3分の2のシェアだったが、7月以降にはシェアがほぼ0になり、アメリカが代わりに首位になった[19]。そして、様々な州が主要なマイニング拠点になった[20]。また、カザフスタンはビットコインのマイニングにおいて世界第2位の座を獲得した[21]。だが、カザフスタンでは、1年間の全国電力消費量の伸び率は7%を超え、電力価格が上がり、一部停電が起きている[22]。マイニングの難しさは28%減少し、一時的にはるかに簡単になったが、すぐに戻った[23]。中国でマイニングが禁止されて以降は、同じく電力料金が安いカナダやカザフスタン、テキサス州に進出する企業が増加している[6][24]

仮想通貨が始まったばかりの頃は、個人でマイニングをすることが多かったので、マイニングで1億円相当以上の資産を築く人もいた。しかし、2022年現在、団体でマイニングをしているところが多いので、個人でマイニングをするのは現実的ではないと言う意見もある[9]

マイニングソフト

また、自分の端末だけでなく、他人の端末を使用して、マイニングを行うソフトもある[25]。これを、マイニングソフト[25]やコインハイブ[26]と呼ばれる。主な使い方としては、ソフトをウェブサイトに設置しておき、サイトを閲覧した人の端末で計算を行わせ、報酬は自分が得るという仕組みである[25]

環境への影響

マイニングに対して、環境への影響が懸念が出ている。また、マイニングによる環境への影響はオランダなど多くの国々の年間の電気の消費量に匹敵するほど大きい[27][28]。現在、マイニングの年間の消費する量は世界の電力を生産する量の0.57%に相当し、世界の電力を消費する量の0.65%を占める[27]。環境運動家は、マイニングに大量の電力が消費されていることに懸念を抱き、発電によって排出される温暖化ガスの削減に向け、規制強化を政府に求めている[15]。だが、「This Machine Greens」は、「プルーフ・オブ・ワーク」システムより、クルーズ業界はビットコインの2倍のエネルギーを使うと主張し、それよりエネルギーを使う量は少ないと反論している[13]

脚注

  1. ^ a b ビットコイン(Bitcoin)を生み出す採掘(マイニング) | 仮想通貨の購入/販売所/取引所【bitFlyer(ビットフライヤー)】”. bitflyer.com. 2022年2月22日閲覧。
  2. ^ a b c マイニング”. 大塚商会. 2022年2月22日閲覧。
  3. ^ わかりやすい用語集 解説:マイニング(まいにんぐ)”. 三井住友DSアセットマネジメント. 2022年3月23日閲覧。
  4. ^ a b 採掘(マイニング)”. bitFlyer. 2022年3月23日閲覧。
  5. ^ ビットコイン採掘、エネルギー膨大 環境に負荷:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2022年2月27日閲覧。
  6. ^ a b c 編集部, Money Method. “マイニングとは?やり方や報酬の仕組み、稼ぐ方法を解説|人気取引所も紹介”. Money Method. 2022年3月1日閲覧。
  7. ^ マイニングとは? 仮想通貨を「掘り出す」”. 日本経済新聞 (2018年7月20日). 2022年3月24日閲覧。
  8. ^ PC無断利用で「マイニング」は違法か Coinhive裁判、20日に最高裁判決”. ITmedia NEWS. 2022年4月23日閲覧。
  9. ^ a b 仮想通貨(暗号資産)とは?種類や仕組みなどわかりやすく解説! | 仮想通貨”. 福井新聞ONLINE. 2022年3月27日閲覧。
  10. ^ a b 暗号資産と環境汚染の関係性、イーサリアムが移行を計画する「PoS」とは(MONEY PLUS)”. Yahoo!ニュース. 2022年4月22日閲覧。
  11. ^ ビットコインのエネルギー問題|もっと知りたいメガトレンド”. www.pictet.co.jp. 2022年4月22日閲覧。
  12. ^ ビットコインのエネルギー問題|もっと知りたいメガトレンド”. www.pictet.co.jp. 2022年4月22日閲覧。
  13. ^ a b Morris, David (2021年10月4日). “ビットコインの環境負荷批判に見る誤謬【オピニオン】 | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン”. CoinDesk Japan. 2022年4月23日閲覧。
  14. ^ 仮想通貨マイニングは驚くほど簡単、でも収益は?…ツールと手順【解説】(BUSINESS INSIDER JAPAN)”. Yahoo!ニュース. 2022年5月15日閲覧。
  15. ^ a b 日経ビジネス電子版. “電力多消費のビットコインが環境意識の高い欧州で注目される理由”. 日経ビジネス電子版. 2022年3月23日閲覧。
  16. ^ 環境保護団体、ビットコイン採掘のコード変更を求めるキャンペーンを開始(CNET Japan)”. Yahoo!ニュース. 2022年4月22日閲覧。
  17. ^ マイニング│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券”. www.smbcnikko.co.jp. 2022年3月7日閲覧。
  18. ^ 中国、ビットコインの規制強化 「採掘」や取引対象:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2022年3月24日閲覧。
  19. ^ ビットコイン採掘、米首位に 中国禁止でシェア急変(写真=ロイター)”. 日本経済新聞 (2021年10月14日). 2022年3月23日閲覧。
  20. ^ ビットコイン・マイニングのエネルギー消費、米環境活動家の標的に”. ニューズウィーク日本語版 Newsweek. 2022年5月16日閲覧。
  21. ^ カザフ大統領、仮想通貨マイニング増税を命令 - ロイターニュース - 国際:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2022年3月24日閲覧。
  22. ^ ビットコインによる年間の電力消費量は主要先進国並みに 拡大する市場の裏で高まる暗号資産の環境負荷”. まち座|今日の建築・都市・まちづくり. 2022年4月22日閲覧。
  23. ^ Stevens, Robert (2022年2月19日). “自宅マイニングはまだ可能? 収益性はある?【北米版】 | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン”. CoinDesk Japan. 2022年3月27日閲覧。
  24. ^ 日本放送協会. “グリーンになれる? “ビットコインの街”の試行錯誤 | NHK | ビジネス特集”. NHKニュース. 2022年3月23日閲覧。
  25. ^ a b c マイニングとは? 仮想通貨を「掘り出す」”. 日本経済新聞 (2018年7月20日). 2022年3月24日閲覧。
  26. ^ 日経クロストレンド. “最高裁判所が逆転無罪 コインハイブ事件のもたらす意味”. 日経クロストレンド. 2022年4月29日閲覧。
  27. ^ a b ビットコインの電力消費量、多くの国々を超える水準に”. Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) (2021年5月12日). 2022年3月1日閲覧。
  28. ^ Corporation株式会社テレビ東京-TV TOKYO『【ふちこの直撃マーケット】実は毎日大赤字? 環境にも配慮? 暗号資産「マイニング」の今|テレ東プラスhttps://www.tv-tokyo.co.jp/plus/business/entry/2021/023881.html2022年3月1日閲覧 

関連項目

Strategi Solo vs Squad di Free Fire: Cara Menang Mudah!