フッ化ベリリウム
識別情報
CAS登録番号
7787-49-7
PubChem
24589
ChemSpider
22992
RTECS 番号
DS2800000
InChI=1S/Be.2FH/h;2*1H/q+2;;/p-2
Key: JZKFIPKXQBZXMW-UHFFFAOYSA-L
InChI=1/Be.2FH/h;2*1H/q+2;;/p-2
Key: JZKFIPKXQBZXMW-NUQVWONBAD
特性
化学式
BeF2
モル質量
47.01 g/mol 吸湿性
外観
無色
密度
1.986 g/cm3
融点
554 °C , 827 K, 1029 °F
沸点
1169 °C , 1442 K, 2136 °F ([ 1] )
水 への溶解度
溶けやすい
溶解度
アルコールにはやや溶けにくい
構造
分子の形
直線形
熱化学
標準生成熱 Δf H o
-21.84 kJ/g
標準定圧モル比熱 , C p o
1.102 J/K
危険性
EU分類
発癌性 猛毒(T+ ) 刺激性(Xi ) 環境への危険性(N )
EU Index
004-002-00-2
Rフレーズ
R49 , R25 , R26 , R36/37/38 , R43 , R48/23 , R51/53
Sフレーズ
S53 , S45 , S61
許容曝露限界
0.052 mg Be/m3
半数致死量 LD50
98 mg/kg (経口, ラット)
関連する物質
その他の陰イオン
塩化ベリリウム 臭化ベリリウム ヨウ化ベリリウム
その他の陽イオン
フッ化マグネシウム フッ化カルシウム フッ化ストロンチウム フッ化バリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
フッ化ベリリウム (beryllium fluoride)は、組成式 がBeF2 の無機化合物 である。白色の固体で、主に金属ベリリウム の製造に用いられる。
構造と結合
BeF2 の結晶構造 は二酸化ケイ素 に類似する。Be2+ を中心とした四配位の四面体構造をとる[ 2] 。固体のBeF2 は二酸化ケイ素の低温石英(α-quartz)、高温石英(β-quartz)、クリストバライト およびトリディマイト に類似した重合体構造をとる[ 3] 。BeF2 とAlF3 との間には類似性があり、双方とも温和な温度で拡張構造をとる。BeF2 は高度な共有結合結晶であると考えられる。
BeF2 の気相構造
BeF2 は1160℃以上で気体 となる。CO2 やSiO2 と等電子数の直線形分子構造をとる。Be-F間の距離は177 pmである[ 4] 。BeF2 (固体)とCO2 (気体)との常温での相違は、複数の結合を形成するアルカリ金属の性質がやや反映されている。
融解したBeF2 はBe-F-Be間で強い相互作用を持つ三原子分子であり、いくつかの点で水と似ている。水と同様にBeF2 の密度も融点付近で減少する。また、液体BeF2 は流動的な四面体構造をとる[ 5] 。
合成
ベリリウム鉱石を処理することにより不純な水酸化ベリリウム Be(OH)2 を得る。これにフッ化水素アンモニウム を反応させることによりテトラフルオロベリリウム(II)酸アンモニウムを得る。
Be
(
OH
)
2
+
2
(
NH
4
)
HF
2
⟶ ⟶ -->
(
NH
4
)
2
BeF
4
+
2
H
2
O
{\displaystyle {\ce {Be(OH)2\ + 2(NH4)HF2 -> (NH4)2BeF4\ + 2H2O}}}
テトラフルオロベリリウム(II)酸イオンは頑丈であり、他の不純物は水酸化物として沈殿する。精製した(NH4)2BeF4を熱すると目的物が得られる。
(
NH
4
)
2
BeF
4
⟶ ⟶ -->
2
NH
3
+
2
HF
+
BeF
2
{\displaystyle {\ce {(NH4)2BeF4 -> 2NH3\ + 2HF\ + BeF2}}}
利用
グラファイト のるつぼ でマグネシウムと一緒に1300℃に加熱することにより還元させる方法は最も実用的な金属ベリリウムを得る方法である[ 4] 。
BeF
2
+
Mg
⟶ ⟶ -->
Be
+
MgF
2
{\displaystyle {\ce {BeF2\ + Mg -> Be\ + MgF2}}}
塩化ベリリウム は不安定であるため実用的ではない。
安全性
すべてのベリリウムの化合物は猛毒である。フッ化ベリリウムは水に易溶で体内に吸収されやすく、ATPの取り込みを阻害する。マウスでのLD50 は経口では100 mg/kgで、静脈注射では1.8 mg/kgである。
脚注
^ Lide, David R., ed. (2006), CRC Handbook of Chemistry and Physics (87th ed.), Boca Raton, FL: CRC Press, ISBN 0-8493-0487-3
^ Wells A.F. (1984) Structural Inorganic Chemistry 5th edition Oxford Science Publications ISBN 0-19-855370-6
^ Greenwood, Norman N.; Earnshaw, A. (1997), Chemistry of the Elements (2nd ed.), Oxford: Butterworth-Heinemann, ISBN 0080379419
^ a b Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5 .
^ Agarwal, M.; Chakravarty C (2007). “Waterlike Structural and Excess Entropy Anomalies in Liquid Beryllium Fluoride”. J. Phys. Chem. B 111 (46): 13294. doi :10.1021/jp0753272 . PMID 17963376 .
外部リンク