フッ化ビニル(フッかビニル、英: Vinyl fluoride)は、化学式C2H3Fで記される有機フッ素化合物。無色の気体で、わずかにエーテル臭がある。フッ素樹脂原料の単量体として利用される。
製造
1892年にフロンの製造に成功したベルギーの科学者フレデリック・スワルツ (Frédéric Swarts) により、1901年に初めてフッ化ビニルが製造された。スワルツは亜鉛と1,1-ジフルオロ-2-ブロモエタンから製造したが、工業的にはアセチレンとフッ化水素から水銀を触媒として2つの経路により製造される[1]。
1,1-クロロフルオロエタンからも得ることができる。
通常は、重合抑制剤としてテルペンが0.2%添加されている[2]。
安全性
強い引火性があり、燃焼により有害なフッ化水素が生じる[3]。軽度の麻酔性と人体に対する発癌性のおそれがあり、IARC発がん性リスク一覧#Group2A(ヒトに対する発癌性がおそらくある)に分類される[2]。
性質
臨界点は54.8℃(328 K)、5.24MPa。双極子モーメントは1.4デバイ、蒸発熱は361kJ/kg。
関連項目
脚注
- ^ Günter Siegemund, Werner Schwertfeger, Andrew Feiring, Bruce Smart, Fred Behr, Herward Vogel, Blaine McKusick “Fluorine Compounds, Organic” Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH, Weinheim, 2002. doi:10.1002/14356007.a11_349
- ^ a b 製品安全データシート(安全衛生情報センター)
- ^ 国際化学物質安全性カード
外部リンク