ハルシオンは、日本のフォークバンドであり、精神障害者バンドである。精神保健・福祉業界では障害当事者による病をさらしての音楽活動ははじめてであったため、全国で注目を受けた。1995年、結成当初は菅井千珠子・千代順二・下村幸男・塚本正治の4名であったが、2名の死去により塚本・下村がライブ活動を続けた。当初はフォークロック系音楽であったが、やがてフォークデュオという形態に移行する。2004年解散後、塚本・下村はそれぞれソロ活動に移行したが、2014年6月26日の日比谷野外音楽堂でのライブで再結成した。1997年毎日放送ラジオドキュメンタリー「届くなら唄を」で毎日放送社長賞を授与された。
合い言葉は「精神病院から学校教室まで」として音響のない生ライブを展開した。2001年から2003年にかけて3枚オリジナルアルバムをインディーズでリリースしているが、CD店に置く形態はとらず、ライブ後の販売(いわゆる手売り)でCD販売を行った。
オリジナルCDは2001年「フナの唄」2002年「心の花」2003年「僕たちの未来」である。アルバム収録の「大和川」「ルート26」は菅井千珠子の入院体験を唄にしたものである。
「心の花」は2006年に死去した写真家・牧田清がグラビアを手掛けたアルバム。ハルシオンのオリジナル曲6曲が収録されている。牧田は八尾市在住であったが、大阪市天王寺区の居酒屋「風まかせ人まかせ」(現在は十三に移転)でのライブで出会い意気投合した。当時牧田は社会的マイノリティの写真撮影に没頭しており、精神障害者問題に関心を寄せたものと思われる。アルバムに収録されている「心の花」聴き共感した。また牧田は三枚のオリジナルアルバムのグラビアを手掛けた。
楽曲は塚本正治・下村幸男が務めた。
参考文献
- 1997年毎日放送ラジオドキュメンタリー「届くなら唄を」
- 1998年大阪市教育委員会 学校副読本「精神障害者への理解を進めるために」
- 1999年毎日新聞9月6日「精神障害者生活支援センターに地域住民反対・進まぬ精神障害者理解」
- 2001年6月20日毎日新聞夕刊一面「仲間の死を乗り越えCDデビュー」
- 2002年9月23日朝日新聞「写真家牧田氏 心の花を撮る」
- 2002年NO38 Review「特集・池田小学校事件」p9~10
- 2014年6月26日毎日新聞「精神病床 居住施設へ転換 隔離の継続 障害者団体反発」
- 2001年6月18日朝日新聞「池田小事件で強まる精神障害者への偏見」
- 2002年8月20日 大阪日日新聞「ハルシオン 2枚のアルバムが訴えること」
- 2005年12月6日 毎日新聞「世の偏見 歌で立ち向かう」