ノート[1](ノット[2]、ノーット[3]とも。Nótt)とは、北欧神話の夜の女神。その名は「夜」を意味する。
ヨトゥンヘイムに住むナルヴィ[4]、あるいはネル[5]という名の巨人の娘で、髪も姿も生まれつき黒く、暗いとされている[4]。
彼女は3度結婚し、最初の夫ナグルファリとの間に息子のアウズを、次の夫アンナルとの間に娘ヨルズを、最後の夫でアース神族の男デリングとの間に息子のダグ(昼)をもうけたが、末の息子は父親に似て明るく美しかった[4]。
オーディンは、彼女とその息子のダグを呼び、それぞれに馬車を与え世界を周り続けるように命じ、昼と夜が出来上がった[4]。
ノートはフリームファクシ(「霜のたてがみ」の意)という馬が引く馬車に乗り、12時間ごとに大地の上を通るように天を駆けるよう定められ、馬銜(はみ)から滴り落ちる泡が大地を濡らすが[4]、これが谷の露であるとされている[6]。
脚注
- ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』などにみられる表記。
- ^ 『世界神話伝説大系 29 北欧の神話伝説(I)』(松村武雄編著、名著普及会、1980年改訂版)にみられる表記。
- ^ 『オージンのいる風景 オージン教とエッダ』(ヘルマン・パウルソン著、東海大学出版会、1995年)にみられる表記。
- ^ a b c d e 『エッダ 古代北欧歌謡集』232頁、「ギュルヴィたぶらかし」10章。
- ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』47頁(「ヴァフスルーズニルの歌」25節)。
- ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』46頁(「ヴァフスルーズニルの歌」14節)。
参考文献
- V.G.ネッケル他編 『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年。
関連項目