ヌニバク島 (ヌニバクとう、Nunivak Island) は、ベーリング海 で2番目に大きな島。永久凍土 に覆われた火山島で、アラスカ州 のユーコン川 ・カスコクウィム川 デルタ(en:Yukon–Kuskokwim Delta )の沖約48kmに浮かび、本土とはイトリン海峡 (英語版 ) で隔てられる。面積4,226.8 km2 、長さ76.2km、幅106kmでアメリカ合衆国で8番目に大きな島である。2010年の調査では人口191人。
地理
ヌニバク島の急崖
ヌニバク島の砂丘
火山起源の島であり、白亜紀 の堆積岩 の上に小さな楯状火山 から流れ出た溶岩 により形成された、海抜500フィート(160m)以上の溶岩台地 が広がっている。島には約60個の噴石丘 (英語版 ) と4個のマール が点在している。火山活動の歴史から、ベーリング海火山地域 (英語版 ) の一部と見なされており[ 1] 、イキルウィット溶岩層 (英語版 ) という火山地形が見られる。
島の東海岸と南海岸には汽水ラグーンが見られ、北西部は急崖となっている。
島のバイオーム はツンドラ であり、高さ4フィート(1.2m)未満のヤナギ の木が見られる。
また、数種の絶滅危惧種 を含む少なくとも89種の渡り鳥 の飛来地であり、夏には海岸部や内陸部のツンドラ湖が繁殖地となっている。
先史時代よりカリブー の生息地であったが、19世紀後半から20世紀初頭の乱獲により絶滅してしまった。そのため、1930年代から40年代にかけてアメリカ政府はカリブーとジャコウウシ を導入し繁殖させた。現在、これらの動物は現地法人によって管理されている。
民族
ヌニバク島の子どもたち(1930年)
ヌニバク島のほぼ全ての永住者はユピック ・エスキモー であり、より細かくは中央ユピックに属する。なお、島民はCup'ig (複数形 Cup'it )を自称する。
高齢の島民はユピック語 のひとつである中央アラスカ・ユピック語 を第一言語としているが、ほとんど全ての島民は英語 を話す。
島民は自足自給の狩猟や本土での商業漁業に大きく依存している。
イヴァン・ペトロフ による1880年の国勢調査では島の9つの村で計702人を数えたが、1900年の伝染病により人口は激減した。以降は移民等により200人程度の人口を保ち、現在では全住民が北岸にあるメコリャック (英語版 ) に住んでいる。
文化
マスクを着用した島民
ヌニバク島の芸術は古代から受け継がれたもので、特にセイウチなどの動物を模したマスクが特徴的である。このマスクは古代では商業用として用いられ、後に祝祭や踊りで用いられるようになった。
セイウチは、皮はカヤックや靴底、腸は防水雨具、骨は道具にするなど、島民が衣食住において依存する重要な生き物であった。
脚注
参考文献
Nunivak Eskimo Margaret Lantis in Handbook of North American Indians v5 Arctic pp 209–223. Government Printing Office, Washington. Copyright 1984 Smithsonian institution.
Nunivak Island Eskimo (Yuit) technology and material culture (1989) VanStone, James W; Field Museum of Natural History. Fieldiana: Anthropology, new series, no.12 Chicago, Ill.: Field Museum of Natural History. In copyright, digitized with the permission of the Chicago Field Museum. This is VanStone's write-up of Margaret Lantis's material culture collection and notes.
The social culture of the Nunivak Eskimo . Margaret Lantis. Transactions, American Philosophical Society (vol. 35, Part 3, 1946)
Charles C. Hughes. Review of "Eskimo Childhood and Interpersonal Relationships: Nunivak Biographies and Genealogies" by Margaret Lantis American Anthropologist, New Series, Vol. 63, No. 5, Part 1 (Oct., 1961), pp. 1133–1135 (3-page review; good summary).
Fish and Wildlife Resources of Nunivak Island, Part 1, Fisheries – March 21, 1966 Jerry Hout, U.S. Fish and Wildlife Service. Subsistence fishing. Maps, photos.
外部リンク