ドクター・アトルは帰国後、メキシコで大活躍した。1906年には、雑誌『サビア・モデルナ(Savia Moderna)』の編集者であるアロンソ・クラビオト(Alonso Cravioto)とルイス・カスティーヨ・レドン(Luis Castillo Ledon)が主催する展覧会に、ディエゴ・リベラ、フランシスコ・デ・ラ・トーレ(Francisco de la Torre)、ラファエル・ポンセ・デ・レオン(Rafael Ponce de León)らとともに参加した[3]。
革命に勝利した人々は、19世紀から20世紀初頭にかけてのメキシコ政府のヨーロッパ中心主義を否定し、革命後は、メキシコの豊かな先住民族の過去や、民族舞踊、音楽、美術、工芸などの大衆芸術への関心が復活した。ドクター・アトルをはじめとする芸術家たちは、民俗芸術の展示や民衆舞踊・音楽の公演を行い、アトル自身も1922年にメキシコ政府から出版された2巻の研究書『メキシコの民俗芸術(Folk Arts in Mexico)』を作成した[6]。
その後、アトルの興味は火山の研究にあり、プエブラ州のポポカテペトル山とイスタシワトル山(Iztaccíhuatl)を訪れるのに多くの時間を費やした。1950年に出版された著書『Cómo nace y crece un volcán, el Paricutín』では、1943年にパリクティン山の噴火を目撃した経験が語られている。噴火を見学中に負傷し、足を切断したという。火山風景を描くだけでなく、火山学の専門家としても知られており、その論文は火山を理解する上で貴重なものであった[7]。
文学作品には、メキシコ革命をテーマにした『Cuentos de todos los colores』(タイトルを直訳すると『すべての色の物語』)がある。また著書「La Perla(真珠)」は、ジョン・スタインベックの同名の小説[注釈 2]の執筆に影響を与えた[8]。またアトルはナワトル語で「ナフイ・オリン」(アステカの再生・地震のシンボルで「4つの動き」を意味する)という名前を、伴侶であるメキシコの詩人・画家のカルメン・モンドラゴン(1893年 - 1978年)に与えた。
1961年に放送された「アルコア・プレゼンツ:ワン・ステップ・ビヨンド(Alcoa Presents: One Step Beyond)」では、1920年にドクター・アトルが体験したことをもととしたエピソードが取り上げられている。筋書きには「デヴィッド・J・スチュワート演じるアトルは、当局から逃れるために、アステカの戦士の幽霊が出るという修道院に身を寄せる。しかし、彼を追っていた連邦軍兵士が謎の絞殺事件を起こしてしまう。エンディングにはドクター・アトル本人がゲスト出演している。」と説明されている。
Archivo General de la Nación, Mexico. "El Dr. Atl y la Confederación Mundial del Trabajo." Boletín del Archivo General de la Nación 3.15 (1981): 17-18.
Bordan, Iain and Jane Rendell, eds. (2000). Intersections: Architectural Histories and Critical Theories. London: Routledge.
Calderazzo, John (2004). "Rising fire : volcanoes and our inner lives". Guilford, CT: Lyons Press. p61 ff
Casado Navarro, Arturo. El Dr. Atl (1984).
Cumberland, Charles (1957). "Dr. Atl and Venustiano Carranza." The Americas. 13.
Espejo, Beatriz (1994). "Gerardo Murillo: El paisaje como pasión". Coyoacán, Mexico: Fondo Editorial de la Plástica Mexica.
(1964). "Gerardo Murillo, Mexican Artist, 89." The New York Times. August 16.
Galerie Joubert et Richebour, Exposition Dr. Atl: les montagnes du Mexique. Paris: Galerie Joubert et Richebourg 1914.
Helm, Mckinley (1989). Modern Mexican Painters. New York: Harper Brothers.
Lear, John. Picturing the Proletariat: Artists and Labor in Revolutionary Mexico, 1908-1940. Austin: University of Texas Press 2017.
Murrillo, Gerardo. Dr. Atl: Pinturas y dibujos. 1974.
Patterson, Robert (1964). "An Art in Revolution: Antecedents of Mexican Mural Painting, 1900-1920." Journal of Inter-American Studies. 6.
Pilcher, Jeffrey (2003). The Human Tradition in Mexico. Wilmington: Scholarly Resources.
White, D. Anthony, Siqueiros: Biography of a Revolutionary Artist (Book Surge, 2009)
^Lear, John. Picturing the Proletariat: Artists and Labor in Revolutionary Mexico, 1908-1940. Austin: University of Texas Press 2017
^Rivera, Diego. 1993. Diego Rivera and the revolution: Mexico in times of ghanges [i.e. change]. [Mexico City]: Diego Rivera Studio Museum. p. 35. ISBN9682958156
^D. Anthony White, Siqueiros, Biography of a Revolutionary Artist, Book Surge, 2009, pp. 19-21