トロンボーンと吹奏楽のための協奏曲(露: Концерт для тромбона с духовым оркестром)は、ニコライ・リムスキー=コルサコフが作曲したトロンボーン協奏曲。吹奏楽の伴奏で書かれている。
概要
ロシアの海軍軍楽隊の指揮者を務めていた1877年に、海軍士官の同僚であるトロンボーン奏者レオノフのために作曲した。
初演は1878年3月16日にクロンシュタットの海軍基地で、同じく吹奏楽伴奏による管楽器のための協奏曲である「オーボエと吹奏楽のためのグリンカの主題による変奏曲 ト短調」「クラリネットと吹奏楽のためのコンツェルトシュトゥック 変ホ長調」とともに、作曲者の指揮で行なわれた。
一時忘れられていたが、1951年にソ連国内で再発見され、その後はダーヴィトやグレンダールの作品と並んでトロンボーン協奏曲の古典として広く演奏されている。
クリスティアン・リンドベルイ編曲による、管弦楽版がある。
編成
構成
早い-遅い-早いの3つの部分からなる典型的な協奏曲の形式で書かれているが、それぞれの部分は終止線で区切られておらず、演奏時間は全体を通しても10分程度であることから、単一楽章と見ることもできる。
- アレグロ・ヴィヴァーチェ、4/4拍子
- 3連符の伴奏に乗って演奏される軽やかな第1主題、対照的にレガートな第2主題、再び第1主題が現れる三部形式。
- アンダンテ・カンタービレ、6/8拍子
- エスプレッシヴォで歌われる。最後にカデンツァが添えられ、アタッカでアレグロに入る。
- アレグロ〜テンポ・ポコ・メノ・モッソ〜ヴィヴァーチェ、2/4拍子
- トランペットのファンファーレに続いて、独奏トロンボーンがマーチ風のリズミカルなメロディーを奏する。冒頭のファンファーレの楽句を挟みながら、ヴィルトゥオーソ的なオブリガートが展開される。カデンツァが奏され、再びファンファーレが現れ華々しく終わる。
参考文献
- フランシス・ピーテルス(Francis Pieters)、CD解説:『Nicolaï RIMSKY-KORSAKOV - Works for Clarinet, Oboe, Trombone and Symphonic Band』(ミシェル・ベッケ他独奏、ノルベール・ノジー指揮、ベルギー・ギィデ交響吹奏楽団)RENE GAILLY CD87 075、1994年
外部リンク