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テボーの定理 」は
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(2024年6月 )
テボーの問題
テボーの定理 (テボーのていり、英 : Thébault's theorem 、仏 : Théorème de Thébault )は、フランス の数学者 、ヴィクトル・テボー (英語版 、フランス語版 ) が提唱したいくつかの幾何学 の問題の総称である[ 1] 。それぞれは、テボーの問題I, II, IIIとして知られている。
テボーの問題 I
ある平行四辺形 の4辺の外側に正方形 を作る。このとき、4つの正方形の中心は正方形を作る(デポールの定理 、テボールの定理 とも呼ばれる[ 2] )。
これはヴァン・オーベルの定理 の特別な場合である[ 3] 。またヴァン・オーベルの定理は、ペトル=ダグラス=ノイマンの定理 の系でもある。
テボーの問題Iをもとにしてつくられたタイルのパターン
テボーの問題 II
ある正方形の隣り合う二辺に正三角形 を作る。ただし、双方ともに、外側または内側にあるとする。このとき、2つの正三角形の頂点 でない正方形の頂点と、正方形の頂点でない二つの正三角形の頂点が成す三角形は正三角形である[ 4] 。
テボーの問題 III
ある三角形 ABC と、BC 上の点M について、BC,AM と三角形ABC の外接円 に接 する(内接 する)円 をAM の両側にそれぞれ作る。 2つの円の中心P,Q と三角形ABC の内心 I は共線 である[ 5] [ 6] [ 7] [ 8] 。澤山-テボーの定理 (Sawayama-Thébault theorem,Sawayama and Thébault's theorem)とも呼ばれている[ 9] [ 註 1] 。また、円P,Q は曲線内接円 (curvilinear incircle)と呼ばれる[ 10] 。
2003年まで、学会はテボーの問題 IIIの証明 はこれらの問題の中で最も難しいと考えていた。テボーの問題 IIIは1938年、American Mathematical Monthly (英語版 ) で紹介され、1973年に、オランダ の数学者H・ストリーフカーク(H. Streefkerk)によって証明された[ 11] 。しかし東京 の陸軍中央幼年学校 の教官であった陸軍 教授 [ 12] 澤山勇三郞 が1905年に独自に証明を与えていたことが、2003年、ジャン=ルイ・エーメ (Jean-Louis Ayme)によって発見された[ 13] [ 14] [ 15] 。
テボーの問題 IIIの円を傍接に置き換えたもの、つまり内心を傍心 に、2つの円を外接円に外接 するように置き換えたものは、2002年、Shay Gueronによって発見され、 ケイシーの定理 を用いて証明された [ 16] 。澤山-テボーの定理は以下のようにも言い換えることができる[ 16] [ 17] [ 18] 。
定理 ― ∠AMB =θ 、AM,BC と△ABC の外接円に内接するB,C 側の円の中心をそれぞれP,Q 、内心をI とすると以下の式が成り立つ。
P
I
I
Q
=
tan
2
-->
θ θ -->
2
.
{\displaystyle {\frac {PI}{IQ}}=\tan ^{2}{\frac {\theta }{2}}.}
ジャン=ルイ・エーメによる証明
補題(澤山の補題)
澤山の補題、J がI と一致することを示している。
・円Q とBC,AM の接点 をE,F とする。E,F,I は共線である[ 13] [ 19] [ 20] 。
円Q と△ABC の外接円O との接点をK とする。K を中心とする円の相似 からKE とO の交点N は弧 BC の中点、つまりAI とO の交点である。したがって、KE は∠BKC の二等分線 である。またKF とO の交点をL 、AN とEF の交点をJ として、EF//NL なのでライムの定理[ 註 2] の逆 から、A,J,F,K は共円 である。△AFJ とF,E,J に、ミケル点をK としてミケルの定理 を用いることで、AJ と円JEK はJ で接することが分かる。円Q,JEK はEK で共軸 で、AJ と円JEK が接することから、N を中心としJ を通る円と円JEK,Q は直交 する。ところで、∠NKB =∠NCB =∠NBC と接弦定理 の逆から円BKE はBN と接するので、共軸な3円Q,JEK,BEK は、すべてN を中心としJ を通る円と直交する。したがってNB=NJ=NC である。トリリウムの定理 よりNB=NI=NC なのでI=J 。以上よりE,F,I の共線が示された。
特にM=B とすると、円Q はB の混線内接円 となり、この補題 はニクソンの定理 (theorem of Nixon,Nixon theorem)と呼ばれる[ 21] 。Dao Thanh Oaiは等角共役点 を用いた一般化を発表している[ 9] 。
本題
・P,Q,I は共線である。
円P とBC,AM の接点 をG,H とする。P,Q はそれぞれ∠AMB の内側、外側の二等分線上にあり、またGH,EF はそれぞれの垂線 であるので、GH//MQ,EF//MP である。さらにPG//QE なのでパップスの六角形定理 の逆より、P,Q,I の共線が示された。
脚注
出典
^ Weisstein, Eric W.. “Thébault's Theorem ” (英語). MathWorld . 2024年7月15日 閲覧。
^ 一松信 ,畔柳和生 『重心座標による幾何学』現代数学社 、9/12、81頁。
^ “Thébault's Problem I ”. www.cut-the-knot.org . 2024年5月18日 閲覧。
^ “Thébault's Problem II ”. www.cut-the-knot.org . 2024年5月18日 閲覧。
^ Alexander Ostermann, Gerhard Wanner (2012). Geometry by Its History . Heidelberg ; New York : Springer. pp. 226-230. https://archive.org/details/geometrybyitshis0000oste
^ “Thébault's Problem III ”. www.cut-the-knot.org . 2024年5月18日 閲覧。
^ Shail, R. (2001). “A Proof of Thébault's Theorem” . The American Mathematical Monthly 108 (4): 319–325. doi :10.2307/2695238 . ISSN 0002-9890 . https://www.jstor.org/stable/2695238 .
^ Darko Veljan; Volenec, Vladimir (2008). “Thebault’s theorem” . Elem. Math. 63 . https://ems.press/content/serial-article-files/45334?nt=1 .
^ a b Dao Thanh Oai,Cao Mai Doai, Quang Trung, Kien Xuong, Thai Binh, Vietnam (2016). “A Generalization of the Sawayama and Th´ebault’s Theorem” . International Journal of Computer Discovered Mathematics (IJCDM) Volume 1 : 33-35. https://www.journal-1.eu/2016-3/Dao-Thanh-Oai-Sawayama-Thebault-pp.33-35.pdf .
^ エヴァン・チェン 『数学オリンピック幾何への挑戦、ユークリッド幾何をめぐる船旅』日本評論社 、2/15、96-97頁。
^ Zvonko Cerin (2011). “On Thebault’s Problem 3887” . Journal for Geometry and Graphics Volume 15 : 113-127. https://heldermann-verlag.de/jgg/jgg15/j15h2ceri.pdf .
^ 『官報』第5444号 、明治34年8月24日。
^ a b Ayme, Jean-Louis (2003), “Sawayama and Thébault's theorem” , Forum Geometricorum 3 : 225–229, MR 2055379 , http://forumgeom.fau.edu/FG2003volume3/FG200325.pdf
^ Sawayama, Y. (1905-12-01). A New Geometrical Proposition . JSTOR. The American Mathematical Monthly. http://archive.org/details/jstor-2967716
^ 森本清吾 『沢山勇三郎全集』岩波書店 、1938年。doi :10.11501/1239383 。
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注釈
外部リンク