ティム・ロビンソン(Tim Robinson、1935年 - 2020年4月3日)は、イングランドの著作家、地図製作者。彼の最も知られた作品は、アイルランドのアラン諸島や、アイルランド島西部のコネマラ山地についての著書などがある。
生い立ちと教育
イングランドに生まれたロビンソンは[1]、ケンブリッジ大学で数学を学んだ[1]。
経歴
イスタンブール、ウィーン、ロンドンでビジュアル・アーティストとして経歴を積んだ後、ロビンソンはゴールウェイ県の沖合いに位置するアラン諸島に定住し、アイルランド西部地方(英語版)の景観について詳細な研究を始めた[2]。
ロビンソンは、アラン諸島やコネマラ山地、クレア県のバレンなどの地図を製作し、妻マイレアド (Máiréad) とともにラウンドストーン(英語版)の拠点に設けた印刷所であるフォールディング・ランドスケープス (Folding Landscapes) から出版した[3]。
2巻から成るアラン諸島についての研究書『Stones of Aran』は、地誌的記述や民話伝承などをまとめた書籍として大きく賞賛され、マイケル・ヴァイニー(英語版)は、「これまでアイルランドで生み出された書物の中でも、最も独創的で、示唆に富み、読者を元気にする作品のひとつだ」と述べた[4]。『Stones of Aran: Pilgrimage』(題名は「アラン諸島の岩石:巡礼」の意)は、海岸沿いに見られる地形を追ったもので、『Stones of Aran: Labyrinth』(題名の副題は「迷宮」の意)は、内陸部を探求したものである。
晩年の著作では、3巻から成るコネマラ山地についての研究書『Listening to the Wind』、『A Little Gaelic Kingdom』、『The Last Pool of Darkness』があった。また、アイルランドの芸術団体「イースダーナ (Aosdána)」の会員である[5]。
ロビンソンはアイルランド文学賞(英語版)を2度受賞しており、2007年には『Connemara: Listening to the Wind』で Argosy Irish Non-Fiction Book of the Year に[6]、2011年には『Connemara: A Little Gaelic Kingdom』が International Education Services Best Irish-Published Book of the Yearに選ばれた[7]。
私生活
2019年コロナウイルス感染症が流行中の
2020年4月3日に、セント・パンクラス病院(英語版)で、2019新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患により、85歳で死去した[8]。ロビンソンが死去したのは、妻で共同作業者だったマイレアド・ロビンソンに先立たれてから2週間後のことであった[1]。
おもな著書
- Stones of Aran: Pilgrimage (The Lilliput Press, 1986)
- Connemara: A One-Inch Map, with Introduction and Gazetteer (Folding Landscapes, 1990)
- Stones of Aran: Labyrinth (Lilliput Press, 1995)
- Oileáin Arann: A Map of the Aran Islands, with a Companion to the Map (Folding Landscapes, 1996)
- Setting Foot on the Shores of Connemara (The Lilliput Press, 1996)
- The Burren: A Map of the Uplands of North-West County Clare (Folding Landscapes, 1999)
- My Time in Space (The Lilliput Press, 2001)
- Tales and Imaginings (The Lilliput Press, 2002)
- Connemara: Listening to the Wind (Penguin Ireland, 2006)
- Connemara: The Last Pool of Darkness (Penguin Ireland, 2008)
- Connemara: A Little Gaelic Kingdom (Penguin Ireland, 2011)
関連項目
脚注
外部リンク
書評