ダヴロス(英: Davros)は、イギリスの長寿SFテレビドラマ『ドクター・フー』の登場人物。脚本家テリー・ネイションが制作し、1975年の『ダレク族の誕生』(Genesis of the Daleks)で初登場を果たした。ダヴロスは主人公ドクターの大敵であり、ドクターの宿敵ダーレクの創造主でもある。ダヴロスは数多くの科学の分野を習得した天才であるが、自らの創造物が最高かつ宇宙の支配者であるという誇大妄想に憑りつかれてもいる。ダヴロスは俳優テリー・モロイなどからアドルフ・ヒトラーと比較されることもあり[1]、ジュリアン・ブリーチはダヴロスをヒトラーとスティーヴン・ホーキングをかけ合わせたものと呼んだ[2]。
ダヴロス役の俳優はミッチェル・ウィッシャーで、以前に『ドクター・フー』に違う役で出演しており、Frontier in Space や Planet of the Daleks および Death to the Daleks でダーレクの声を提供していた。彼は哲学者バートランド・ラッセルを元にダヴロス役を演じた[7]。重いマスクを被っての撮影に備え、彼は頭に紙袋を被ってリハーサルに臨んだ[8]。フリードランダーのマスクは硬いラテックスで型を取って製作されており、口以外にウィッシャーの特徴は見て取れなかった。特殊メイクアーティストのシルヴィア・ジェームズはマスクのトーンを暗くし、ウィッシャーの唇と歯を黒く塗って境目を隠した[9]。
Destiny of the Daleks ではデイヴィッド・グッダーソンがウィッシャー用のフリードランダー作マスクを使ってダヴロスを演じており、このときマスクは可能な限りフィットするよう切れ込みを入れられている[10]。テリー・モロイが Resurrection of the Daleks でダヴロスを演じた際にはスタン・ミッチェルが新たなマスクをデザインした。
Destiny of the Daleks では、ダヴロスは死亡していないが地下に埋まってコールドスリープしていたことが明かされた。アンドロイドのモヴェランとの戦争に行き詰っていたダーレクはダヴロスを掘り起こして現状の打破を計画した。しかしダーレク艦隊は地球へ到達する前にドクターに壊滅させられ、ダヴロスは人間に捕まって投獄、コールドスリープさせられた[12]。
ダーレクの内戦
5代目ドクターの物語 Resurrection of the Daleks で、人間の傭兵とダーレクの複製体に助力を受けたダーレクの小隊により、ダヴロスは宇宙ステーションの監獄から解放された。ダーレクはモヴェランが開発したウイルスに対する特効薬の開発をダヴロスに要求したが、ダーレクを裏切者だと考えたダヴロスは最終的にウイルスを解放し、ダーレクに抹殺される前に彼らをウイルスで皆殺しにした。彼はダーレクを改良した新たな種族を生み出そうと画策したが、彼自身脱出を果たす前にウイルスに屈したらしく、ウイルスの影響を受けたことから彼の生理学的特徴がダーレクのものに近いことが窺えた[13]。
6代目ドクターの物語 Revelation of the Daleks では、ダヴロスは惑星ネクロスの極低温保存および埋葬施設トランキル・リポーズに重病患者として隠れていた。ここでダブロスは自らの頭部のクローンを作って囮とし、その間に自らの肉体を改造して電撃の発射と浮遊を可能にした。さらに彼は冷凍された肉体を使って自らに忠誠を誓う白いダーレクを開発したが、オリジナルのダーレクに囚われてスカロへ拉致され、戦闘に突入した[14]。
ダヴロスは皇帝ダーレクとして Remembrance of the Daleks に登場し[15]、インペリアルダーレクと呼ばれるスカロを占拠した白と金色のダーレクを統率し、灰色のレネゲードダーレクと戦った。この時までにダヴロスはカスタマイズされたダーレク仕様の外殻に移っており、登場は最後のエピソードで皇帝の正体として明かされたのみであった。7代目ドクターはタイムロードの技術「オメガの手」を使ってスカロの恒星を超新星へ変え、インペリアルダーレクの母船とスカロを消滅させたが、皇帝の脱出ポッドが船の崩壊の寸前に白い閃光とともに飛び出したことをダヴロスの船のブリッジにいたダーレクが報告しており、ダヴロス再登場のための布石が残された。
2007年11月26日、クラシックシリーズのダヴロスのストーリーを全て収録したDVDボックスセットがリリースされた。収録されているのは 『ダレク族の誕生』(Genesis of the Daleks)、Destiny of the Daleks、Resurrection of the Daleks、Revelation of the Daleks、Remembrance of the Daleksの計5エピソード。