ソヨゴ (冬青、学名 :Ilex pedunculosa )は、モチノキ科 モチノキ属 の常緑小高木 。別名フクラシバ [ 4] 、ソヨギ、フクラモチ、ウチダシソヨゴ[ 2] 。
名称
和名 ソヨゴ は、風に戦(そよ)いで葉が特徴的な音を立てる様が由来とされ[ 6] 、「戦」と表記される。常緑樹 で冬でも葉が青々と茂っていることから「冬青」の表記も見られる。「冬青」は常緑樹全般にあてはまることから、これを区別するために「具柄冬青」とも表記される。中国 植物名でも、具柄冬青(刻脈冬青)と表記される[ 2] 。常緑で、木いっぱいに葉が茂り、風にそよぐと金属音を立てることら、ソヨゴと名付けられたといわれている[ 7] 。
フクラシバの別名は葉を加熱すると内部で気化した水蒸気 が漏出することができず、葉が音をたてて膨らみ破裂することから「膨らし葉」が語源とされる。
中国名 は、具柄冬青(別名:刻脈冬青)[ 2] 。
分布と生育環境
中国 、台湾 および、日本 の本州 (関東地方 以西)、四国 、九州 に自然分布する。本州における分布の北限は新潟県 と宮城県 である[ 9] 。山地や山間部によく見られる。人の手によって、庭などに栽培もされる。
特徴
ソヨゴの赤く熟した果実
常緑広葉樹 の小高木で、樹高は3 - 7メートル (m) ほどで、高くなると10 mほどになる。株立ち で多く枝分かれをする樹形になる。樹皮 は灰褐色でほぼ滑らか、一年枝は褐色を帯びる。
葉 は互生 し[ 4] 、葉身 は長さ4 - 8 cmの卵状楕円形、やや革質、光沢があってのっぺりした外見を持つ。表面は明るい緑で滑らか、裏面はやや白く中肋が突出する。葉縁 は全縁で滑らかだが、波打つのが特徴である[ 4] 。葉には、1 - 2センチメートル (cm) と長めの葉柄 がある。
開花期は5 - 7月頃で雌雄異株 。雄花・雌花共に径4ミリメートル (mm) ほどの小さな白い花が咲き、はっきりした花柄がついて、本年枝の葉の付け根につく。雌花は葉腋に1 - 3個付き、雄花は集散花序 に多数まとまって咲く。
果実 は直径7 - 8 mmほどの球形の核果 で、3 - 4 cmの果柄 があってぶら下がってつき、はじめは緑色をしているが10 - 11月に赤く熟す[ 4] 。果柄は途中に苞葉 の落ちた跡がある。雌株であっても、近くに雄株が無ければ結実しない。モチノキ やクロガネモチ のように果実が多数密生することはない。
冬芽は葉の基部につき、頂芽は側芽よりも大きく、頂芽は長卵形で暗紅紫色をしている。
根は浅く張るために、大きく成長すると台風 などによって倒れやすい。
変異種
果実が黄色くなるものをキミノソヨゴ f. aurantiaca (Koidz. ) Ohwi という。また、長野県 には茎が這って根を出し、葉は細長くて鋸歯が出る変種があり、タカネソヨゴ var. senjoensis (Hayashi ) H.Hara がある。
日本にはモチノキ属のものが他にもあるが、多くは短い柄を持つ果実を密集してつける。しかしクロソヨゴ H. sugeroki Maxim. はやはり長い柄を持つ果実をつけ、葉の形などもやや似ているが、葉に鋸歯があり、全体にやや小さい。枝が黒っぽい。
利用
葉に赤い実を吊り下げる姿が好まれ、庭木 として人気があり、公園木や庭木として植栽 もされている。シンボルツリーとするほか、生け垣 や目隠しとして列をなして植えられる。緑と赤い実が楽しまれ、常緑樹にしては寒さや日陰に強く、北側の緑地や中庭などにも利用でき、成長の遅い樹として重宝される。
堅く緻密な材質ゆえ木からはそろばん の珠や櫛 の材料に使われる[ 7] 。また手斧 など工具 の柄に使われることも多かったことから「具柄冬青」と書かれるようになった。葉にタンニン が多く含まれていて、褐色(オレンジ色)の染料 に利用されている[ 4] [ 7] [ 11] 。他のモチノキ科と同じく樹皮 から鳥もち を採るのにも使われた。このほか、常緑広葉樹としてはかなり北方まで生育するため、サカキ の生育しない長野県 などのやや寒冷な地域において、榊の代用として神事 に使用されることがある[ 13] 。
種の保全状況評価
日本では以下の都道府県 で、レッドリスト の指定を受けている。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキスピーシーズに
ソヨゴ に関する情報があります。
ウィキメディア・コモンズには、
ソヨゴ に関連する
メディア および
カテゴリ があります。