スタイル (ビール)

スタイル(あるいはビールスタイル)は、ビールの分類法のことである。主にビールの原料や製法、そしてビールのアルコール度数や香り、IBUや色度数等によって分類されるが、トラピストビールのように醸造者によって分類される場合もある。

様々な分類法があるが、マイケル・ジャクソンによる分類[1]や、日本地ビール協会が設けたビアスタイル・ガイドライン[2]が用いられることが多い。

ビール・スタイルについて

ビールのスタイルはその醸造方法によってエールラガーの二つに大別される。エールは発酵が進むにつれ酵母が浮上し上面に層をなす事から上面発酵で醸造されるのに対し、ラガーでは酵母が下に沈殿するため下面発酵となる。詳細はそれぞれの項を参照の事。その他では、材料や醸造法を混合させたハイブリッドビールや、自然界に存在する酵母によって自然発酵を行うランビックがある。

さらに細かく分類する場合、芳香、風味、色合い、ボディの強さ、原材料、副原料、アルコール度数、苦みの強弱など様々な基準が用いられる。

同じ名称を用いていても時代や国によって違うビールをさす場合があり、顕著な例としてはドラフトビールがあげられる。

元々のドラフトの意味は「樽詰めされた」ビールを指すものだが、これを日本では熱殺菌していないビール、いわゆる「生ビール」として捉え語句を使用している。しかし他の国では定義が異なり、原典通り樽詰めしたものであれば熱殺菌の有無に関わらずドラフトビールと呼ぶ国や、熱殺菌無しで樽詰めのもののみドラフトビールと呼称する国もあり、ドラフトビールの定義は世界的には同じものではない。

スタイルの一覧

以下に表記する分類や区分は一例であり、さらに様々な条件で細分化も行われる。

『ビアスタイル・ガイドライン1601』では、100種類を超す分類となっている。

醸造法による大分類

  • エール - 上面発酵を行うビール。
  • ラガー - 下面発酵
  • 自然発酵ビール - ワイルドビールともいう。

エールに属するスタイル

ラガーに属するスタイル

  • ピルスナー - ホップの効いた淡色のビール。現在世界で最も流通しており、日本で販売されるビールの大半がこのスタイルに属する[4]
  • ヘレス - ミュンヘン付近で生産される。
  • エクスポート - ドルトムント・ミュンヘン・ウィーンのものが有名。アルコール度数がピルスナーより若干高く、5パーセント強である。

自然発酵で醸造されるスタイル

  • ランビック -ベルギーのパヨッテンランドで醸造される。特有の酸味を持つ。

特殊な醸造法や熟成法による区分

殺菌法による区分

この分類は国によって異なる

  • ナチュラルビール
  • プロセスビール - 加熱殺菌を行ったビール
  • ドラフトビール - 加熱処理を行わず、樽詰めされたビール
  • 生ビール - 加熱処理をせず濾過による減菌処理を行ったビールを指す、日本の分類。

液色による分類

  • 淡色ビール(ピルスナー等)
  • 中濃色ビール(アルト等)
  • 濃色ビール(ボック、ポーター等)
SRM/Lovibond ビールの色 EBC
2 ペールラガー 4
3 ジャーマンピルスナー 6
4 ピルスナー・ウルケル 8
6 12
8 ヴァイスビア 16
10 バス・ペールエール 20
13 26
17 ダークラガー 33
20 39
24 47
29 ポーター 57
35 スタウト 69
40 79
70 インペリアル・スタウト 138

液色による区分

原材料による区分

  • 小麦ビール(ヒューガルデン・ホワイト等) - 白ビール・ホワイトビール、ヴァイスビールとも。原材料の一部に小麦を使用する。
  • フルーツビール(ベルビュー・クリーク等) - 醸造時にフルーツも一緒に漬け込んだもの。また、できあがったビールに果汁を加え製品としたもの。
  • 発泡酒 - 日本の酒税法における分類。中でも節税型発泡酒は麦芽の使用率が低い。低麦芽ビール(ローモルトビア)とも呼ばれる。
  • スパイスビール(チリビール等) - 香草やスパイスを漬け込む
  • アメリカン - トウモロコシやライ麦を副材料に使用した低アルコールのもの

季節による区分

生産国による区分

生産者による区分

その他

関連項目

脚注

  1. ^ Michael Jackson's Beer Hunter - Beer Styles
  2. ^ 日本地ビール協会 ビアスタイル・ガイドライン
  3. ^ a b アサヒビール | 世界のビールの歴史 Beer Century | イギリス 15世紀~19世紀
  4. ^ サントリー お酒・飲料大事典

外部リンク

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