セルマー・パリ社のコントラバスクラリネット(左)とビュッフェクランポン社のコントラアルトクラリネット(右)の比較
Anthony Braxton playing a Leblanc paperclip contrabass clarinet, 1976
Double bass clarinets by Benedikt Eppelsheim (2006), Besson (end of 19th century) and Leblanc (model 340 "Paperclip" to low C (1939), in size comparison with a Leblanc subcontrabass clarinet
コントラバスクラリネット (英 : Contabass clarinet )は、木管楽器 の一つで、クラリネット 属の管楽器 。
楽器の構造
コントラバスクラリネットは、非常に珍しいオクトコントラアルトクラリネット とオクトコントラバスクラリネット を除き、一般的に用いられるクラリネット属の中で最も低い音域を担当する楽器 の一つである。
一般的に使われている変ロ調(in B♭)のコントラバスクラリネットの場合、一般的にクラリネットと称されている変ロ調(in B♭)のソプラノクラリネットより2オクターブ低く、変ロ調(in B♭)のバスクラリネット より1オクターブ低い。
コントラバスクラリネットには最低音が記音E♭(変ホ)のものと、記音C(ハ)のものが存在する。アルノルト・シェーンベルク の5つの管弦楽曲ではイ調(in A)のコントラバスクラリネットが要求されるが、今までそのような楽器が存在したことはない。
4本のトリル キーが存在する他のクラリネットとは違い、コントラバスクラリネットには右手のトリルキーが1本だけしか付いていない。その1本だけ存在するトリルキーは、他のクラリネットの一番下のトリルキーと同じ役割を果たしている。近年に入ってトリルキーの改造に着手するメーカーも出現している。
コントラバスクラリネットは、ペダルクラリネットという名前でも知られている (ここでいう「ペダル」という語は、楽器のメカニズムではなく、「ペダルトーン」と同様、非常に低い音を意味する)。
楽器メーカー
コントラバスクラリネットを製造している楽器メーカーの数はそれほど多くない。ヘンリー・セルマーパリ 社はバスクラリネットを大きくしたようなローズウッド 製の楽器を製造しており、現在のところ木製で製造しているのはここ一社のみである。ルブラン USA社は同じような形のプラスチック 製の楽器を製造している。ルブラン・パリ社は、ペーパークリップ のように折れ曲がった形をしている楽器と、セルマー・パリ社やルブランUSA社と同じような形をした楽器の、2つの形式の金属製楽器を製造している。
2006年前半、Benedikt Eppelsheimは右手の4つのトリルキーが完備したフルベーム式のクリップ型金属製コントラバスクラリネットを公開したが、この楽器はまだ量産されていない。
演奏家
コントラバスクラリネットを独奏楽器として使用した最も有名な演奏家は、おそらくAnthony Braxtonであろう。他の演奏家(ジャズ や即興演奏 を含む)として、Douglas Ewart、Vinny Golia、Mwata Bowden、Wolfgang Fuchs、Hans Koch、Edward "Kidd" Jordanなどが挙げられる。
他の大きなクラリネット
この楽器自体が珍しい楽器ではあるものの、コントラバスクラリネットは現在定期的に製造され、利用されているクラリネット族の楽器の中では、最も低い音域を担当する楽器である。この楽器より低い音域を担当する楽器として、EEE♭オクトコントラアルトクラリネット、およびBBB♭オクトコントラバスクラリネットが存在するが、これらの楽器は非常に稀である。
コントラバスクラリネットとバスクラリネットの中間的な楽器である変ホ調(in E♭)のコントラアルトクラリネット は、しばしばE♭コントラバスクラリネットと呼ばれることがある。
コントラバスクラリネットを使った音楽作品
この楽器のためのソロ作品はほとんど存在しない。一例として次の曲を挙げる。
コントラバスクラリネットが使われている曲として、下記の曲が挙げられる:
クラシック作品ではないが、以下の曲がある。
また、1956年に開催されたホフナング音楽祭において、「祝祭アンサンブル」によって「アニー・ローリー のテーマによる変奏曲」が演奏されたが、このアンサンブルの編成は、ピッコロ 2、コントラバスクラリネット 2、コントラファゴット 2、ヘッケルフォーン 、ハーディ・ガーディ など、高音と低音に極端に偏った楽器編成となっており、イギリス市民にコントラバスクラリネットを紹介する格好の機会となった(音楽祭CDのライナーノートによる)。
脚注
注釈・出典
関連項目