歌詞に出てくる「the bent backed tulips(逆に曲がったチューリップ)」はロンドンにある高級レストラン「パークス」でレノンが見かけた生け花、「Cast Iron Shore(鋳鉄の海岸)」はリヴァプール南部の沿岸地域のことで、「dove-tail(蟻継)」はレノンが学生時代に受けた木工の授業での思い出に由来している[3]。タイトルおよび歌詞に登場する「Glass Onion」は、モノクルを意味するイギリスのスラング[6][7]で、アイビーズ(後のバッドフィンガー)がアップル・レコードより再デビューする際にレノンが提案したバンド名の候補でもあった[8]。
2番の歌詞に「Well here's another clue for you all / The walrus was Paul.(じゃあここでもう1つ手がかりをあげよう / セイウチとはポールのことさ)」というフレーズがある。これについて、マッカートニーは「このくだりをやったときはすごく楽しませてもらった。ジョンが言いたかったのは『マジカル・ミステリー・ツアー』の“アイ・アム・ザ・ウォルラス”で僕ら全員が着ぐるみに入ることになったときに、たまたま僕がセイウチの着ぐるみに入ったということ[注釈 3]。世間の人達が僕らの曲からいろんなことを読み取って、隠れたメッセージがあるとされている全部のネタから、ちょっとした伝説が生まれてくる。それで当時は、僕らの方からネタを仕込んでやろうということになったんだ」と語っている[10][3][注釈 4]。
9月11日のセッションではドラム、ベース、リードギター、アコースティック・ギターの編成で34テイク録音された[14]。同日に録音されたテイクの大半で、「Walrus and me(セイウチと僕)」や「The Fool On The Hill(丘の上の愚か者)」についての歌詞のバリエーションが試された[3]。マスターにはテイク32が採用された[3]。12日にレノンのダブルトラッキングされたリード・ボーカルとスターのタンバリン、13日に追加のドラムとピアノがオーバー・ダビングされた[14]。この段階で「Looking through a hole in the ocean(海に空いた穴越しに見ている)」から現行の「Fixing a hole in the ocean(海に空いた穴を直す)」に変更された[3]。
「アイ・ウィル」のセッション中だった9月16日に、マッカートニーとクリス・トーマスによって「The Fool On The Hill」についてのくだりに対して、同名の楽曲でも使用したリコーダーの短いフレーズを加えられた[3]。
9月26日に電話のベルやガラスの割れる音、サッカー解説者のケネス・ウォルステンホルムの「It's a goal!(ゴールが決まった!)」という叫び声を録音したテープループ(英語版)を加えたモノラル・ミックスが作成された[14][8]。このモノラル・ミックスは、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されており[14]、ヴァースにはフルートにセッティングしたメロトロンの音も含まれており、「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を引き合いにしたアレンジとなっている[3]。休暇から戻ったマーティンが弦楽八重奏を追加することを提案し、レノンもこれに賛同[14]。この日に作成されたミックスおよびサウンド・エフェクトは破棄された[14]。
^DeRogatis, Jim; Kot, Greg (2010). The Beatles vs. The Rolling Stones: Sound Opinions on the Great Rock 'n' Roll Rivalry. Voyageur Press. p. 79. ISBN978-0760338131
Spignesi, Stephen J.; Lewis, Michael (2009) [2004]. 100 Best Beatles Songs: A Passionate Fan's Guide. Philadelphia, Pennsylvania: Running Press. ISBN978-1-603-76265-6
Winn, John C. (2009). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970. Three River