グネモン (ぐねもん、学名 Gnetum gnemon )はグネツム科 グネツム属 の常緑低高木。主として東南アジア に分布する。インドネシア ではメリンジョ (Melinjo)とも呼ばれる[ 2] 。
特徴
グネモンの雄花
グネモンの果実
グネモンノキ、ユミヅルノキともいう。裸子植物 は通常風媒 であるが、グネツム科の植物は虫媒 である。枝幹の節部は輪状に膨大、葉 は対生し、楕円状披針形、全縁、濃緑色で光沢がある。花 は房状に着生、花序は長さ6、7センチメートル、単生または叢生である(左上写真)。通常は雌雄異株 である。果実 は長楕円形で先端は尖り、長さ約2センチメートル、熟すと黄色または紅色となり、中に1個の種子 がある(左下写真)。胚乳 にデンプン 50パーセント、タンパク質 11パーセントを含み、インドネシア などで食用とされている。
利用
果実は生食、煮食、焼食とする。また幼果、葉、花も食用とする。若葉、若い花序または果実は野菜として酸味のスープ のサユール・アッサム などに入れる他、デンプンを含む種子を潰して伸ばし、油 で揚げて「ウンピン (英語版 ) 」(または「グネツム煎餅 」)を作る[ 3] 。味は松の実 とも銀杏 とも違う不思議な味である。また茎を切って出る液を飲用とし、靭皮(じんぴ)繊維は綱索、漁網、釣り糸、弓弦、製紙原料とする。
近年では、種子に含まれるレスベラトロール を健康食品として利用するようになっている[ 4] 。メリンジョの収穫量・消費量が有意に多い地域(ジョグジャカルタ特別州 )の平均寿命は男性で71.2歳、女性で75.1歳とインドネシアの平均寿命(男性:66歳、女性69歳)よりも5年ほど寿命が長くなっている[ 5] 。
生殖
マレーシア のサラワク州(ボルネオ島 )の熱帯雨林 に分布するグネモンは日没頃から菌類 の一種に似た不思議な匂いを放ち、珠孔から糖分を含んだ甘い受粉滴を分泌する。雌雄異株であるが、雄株にも不稔の胚珠があり受粉滴を分泌する。夜行性のメイガやシャクガの仲間は、この匂いに誘われて雌雄の区別無く訪花し、露のように光る受粉滴を吸って回る。雄花を訪れたガ の口吻には沢山の花粉が付着し、これが雌株に運ばれていると思われる。グネツム科の植物が出現したと考えられているジュラ紀 には、未だガの仲間は出現しておらず、双翅目 の昆虫 などによって受粉されていたのかもしれない。
分布
グネモンは低木の物から樹高20メートルほどの高木の物まで変異があり、高木になるものを基準変種 (Gnetum gnemon var. gnemon =狭義のグネモンノキ)として6変種に分類されている。中国海南島 、マレーシア、東インド地方原産で、インド のアッサム地方 からボルネオ島 、スラウェシ島 、ニューギニア各島 を経てフィジー諸島 まで分布しているが、スマトラ島 、ジャワ島 には自生が見られない。フィリピンやジャワなどでは植栽されている。日本には1935年 (昭和 10年)頃に輸入された。基準変種は東南アジア各地の果樹園や庭先で広く栽培されている。
脚注
参考文献
近縁種
外部リンク
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