グセルクマブ(Guselkumab)は、インターロイキン-23に対するモノクローナル抗体である。尋常性乾癬などの治療に用いられる[2][3]。開発コードはCNTO-1959[4]。
効能・効果
日本での効能・効果は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症(英語版)、掌蹠膿疱症 である[5]。
米国では成人の中等度から重度の尋常性乾癬および乾癬性関節炎の治療を適応としている[1]。
副作用
重大な副作用として、重篤な感染症ならびに重篤な過敏症が知られている[5]。
グセルクマブは免疫系シグナル分子の放出を低下させるため、細菌、ウイルス、真菌による感染症にかかるリスクが高くなる可能性がある[2]。 このため、グセルクマブによる治療を検討している乾癬患者は、グセルクマブによる治療の前に結核感染のスクリーニングを受ける必要がある[2]。
グセルクマブの主な副作用は、上気道感染症、頭痛、注射部位反応、関節痛、下痢、胃腸炎、真菌性皮膚感染症、単純ヘルペス感染症などである[6]。 グセルクマブは新薬であるため、長期的な影響は十分に把握されていない[7]。
作用機序
Guselkumabは、IL-23サブユニットα(p19サブユニット)を標的とし[8]、IL-23の存在に因って活性化される細胞受容体への結合を阻害する[4]。
薬物動態
承認
2017年7月、米国で尋常性乾癬の治療薬としての承認を取得した[9]。
2018年3月、日本で尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の治療薬として承認された[10][11]。
2018年11月、日本で国内初の掌蹠膿疱症の治療薬として承認された[12]。
2020年7月、米国で活動性乾癬性関節炎(PsA)の治療薬としての初のIL-23阻害剤として承認された[13][14]。
研究開発
グセルクマブは、アダリムマブおよびウステキヌマブと比較する形で第III相臨床試験が実施された[15]。
“VOYAGE 1”および“VOYAGE 2”の第III相臨床試験(米国ClinicalTrials.gov ID:NCT02207231およびNCT02207231)では、グセルクマブの安全性および有効性がプラセボならびにアダリムマブと比較された[7]。予備的な結果では、グセルクマブを使用した患者では、他の治療法を採った患者に比べて有意に高い割合で皮疹が消失した。また、16週目にPASI 90(ベースラインからのPASIスコアの90%低下)を達成した患者は、グセルクマブ群:73.3% 対 アダリムマブ群:49.7%、PASI 75(ベースラインからのPASIスコアの75%低下)を達成した患者は、グセルクマブ群:91.2% 対 アダリムマブ群:73.1% であった[7]。
第3相臨床試験“NAVIGATE”(ClinicalTrials.gov ID:NCT02203032)では、ウステキヌマブによる治療で効果が不充分だった患者のみを対象とした。その結果、ウステキヌマブからグセルクマブに変更した患者については、ウステキヌマブを継続した患者よりも良好な結果が得られた[4]。
参考資料
外部リンク
- “Guselkumab”. Drug Information Portal. U.S. National Library of Medicine. 2021年4月29日閲覧。